秘密結社とは、聞けば良く知らずとも何となくどんな者たちか想像できる程度には界隈外にも浸透した存在である。
その存在意義と定義を知ると秘密結社が持ち、味わえる魅力はより一層増す。
実際にどのような活動をしているのか、加入条件は、秘密結社が拠点を置く国ごとの特色など、厳選して紙面にまとめていくので気が向いたなら目を通してみるといい。
秘密結社の定義
件の話題を取り上げる際、真っ先に思い浮かぶのは『フリーメイソン』辺りだろうか?
世界各地にロッジと呼ばれる拠点を置き活動する友愛結社であり、フリーメイソン側は然るべき情報開示は行っていると主張しているが、いまだに界隈のみならず一般的にも秘密結社の代名詞のように捉えられている節がある団体である。
秘密結社と聞くと世界を影で牛耳っているような壮大な陰謀論めいたイメージが湧きがちだが、これは秘密結社の定義に「活動内容や他内部の詳細を秘匿していること」が挙げられるためであると推測できる。
これはよくよく聞いてみると『結社が秘匿する活動内容がどれほど陰謀めいているか』は特に問うてはいない。先に挙げたフリーメイソンは原初は中世イギリスのある地方の石工職人たちの組合が基になっていると言われており、発足動機も「石工職人たちが編み出した独自の建築技術の漏洩防止」だったのではないかとする説がある。
この『結社が秘匿する活動内容』を広域に捉えるようにして各国の秘密結社を挙げていくと、興味深い国毎の特色のようなものが見えてくる。
ヨーロッパの秘密結社
先の章で少し触れたフリーメイソンの他にも、ヨーロッパには秘密結社に分類される団体が存在する(表向きは「していた」ともいう)。
というのも、ヨーロッパ地方は1500年?1800年の時期に有閑階級の間で秘密結社の存在そのものがブームになった背景がある。
1776年、ドイツの大学教授だったアダム・ヴァイスハウプトが創設した『イルミナティ』は反政府主義の人間が集って哲学と政治を議論し合うための団体だった。政府批判が主軸にあったためその存在は秘匿され、入会する際もアダム本人が慎重に審査したとあるが、いつしか政府から名指しで解散命令を下されるほどにその規模はヨーロッパ内で拡大していったようだ。
1700年代イギリスに存在していた『地獄の火クラブ』。名前と悪魔崇拝の儀式を行っていたという概要だけを聞くと物々しいが、実体は上級階級の者たちが秘密裏に集まってやや淫らな遊びをする社交クラブだったとか。
無論(というのも言い得て妙だが)オカルト・スピリチュアルな儀式を目的に集まった団体も存在する。
1800年代末にイギリスで設立した『黄金の夜明け団』は、西洋を中心に古今東西に伝わる魔術の研究や儀式の施行、知識の伝承を目的とした、俗にいう魔術結社の元祖とも呼べる秘密結社である。
これらが勢力を持った背景には、秘密結社と同時期に流行した神秘主義やオカルト思想も関係している。
アメリカの秘密結社
1865年設立の『KKK(クー・クラックス・クラン)』はノルディックイデオロギー…「北方系の白人が最も優れた人種である」という思想のもと活動する団体である。白いローブのような装束+三角の白い頭巾の会員たちが街を練り歩きながらデモ活動をする様子は、もしかしたらメディアか創作物かで見覚えがあるかもしれない。KKK自体は1927年に崩壊しているが、それまでに派生したKKK系の組織がいまだに各地で細々と活動しているようである。
1843年に設立した『ブナイ・ブリス』は逆に人種差別や反ユダヤ主義に対抗し、迫害を受ける人種の援助・扶助を目的とした団体組織である。拠点をロッジと呼んだりと初期はフリーメイソンの形態を真似て活動していた部分もあったようだが、現在では秘密主義を辞める宣言をし活動している。
秘密結社の特色の整理と考察
ヨーロッパ地方の秘密結社は活動内容にバラつきはあれど、調べる限り最初から世界征服のような陰謀を含んだ団体はなく、どれも元々は「ちょっとオープンにできない趣味や知見を共有するコミュニティ」といった割かし軽めの雰囲気で始まったようにも見える。
それがある一定の知名度を持つようになってから、権力者が入会したり国や政府に目を付けられたり・・・果ては陰謀めいた説に名が挙げられるようになったり派生を名乗る全く無関係の過激派団体が発足したりしたのかと思うと、初期の面々の「こんなつもりじゃなかった」という頭を抱える声が聞こえる気がしなくもない。
一方アメリカで設立した秘密結社はヨーロッパ地方のそれらと比べて歴史が浅く活動自体が過激なイメージがある。掲げる思想に「人種」が関わる点も、アメリカという土地が海を渡ってきた移民たちにより開拓され、形成された歴史が根強く関わっているのかもしれないと推測できる。
アジアの秘密結社
ヨーロッパ・アメリカ地方だけでもこれほど興味深かった秘密結社の特色。当初はアジア、ひいては日本の秘密結社もまとめる予定だったのだが、思いのほか二地方で紙面を埋め尽くしてしまったので残りは機会あれば別紙に取り挙げることにする。
特に日本の秘密結社は他地方にはない独特な特色が滲んでいるので、興味が途切れない読者は自身で調べてみるのも良いと思う。
※画像はイメージです。
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