ヘタレの恥は百年つづく

これは父方の伯父から聞いた、戦後間もない頃の話です。

日本が戦争に負けてから、米軍の軍隊が日本に駐留することになった。
伯父は当時10才になったばかりで、世の中が変わっていくことには理解が及ばなかったが、B29が上空を飛んでいても警報も鳴らないことには慣れつつあったようです。

伯父は小学生であったので、もちろん毎日、小学校に通っていた。給食もいうシステムはないものの、田舎で農家だったため食べるものはそれなりにあったものの、お菓子なんて食べる機会は皆無だった。

その当時の学校教育は、かなり威厳があり、まちがいなく暴力的なものでもあり教師の権力は絶対的でした。
伯父の担任だった教師も、とにかく厳しい人間で遅刻や宿題を忘れる、テストで悪い成績などを取ると竹刀でしこたま叩かれていたそうです。

そんな厳しい先生に引率されて、みんなで遠足に行ったことがあったそうですが上空にB29が通過したそうです。
小学生の上を過ぎ去って、旋回しながらパラシュート付きの木箱を投下しました。

当時は米軍が子供たちにお菓子などを与えてくれたこともあったのですが、それもまた同じ行為で貧しげな子供たちの行列を見て、お菓子をあげたくなったのでしょうか?

子供たちはそれに気がつくと、勢いよくその木箱に走っていきました。
先生もそれに引率して、着地した木箱に向かいます。

「開けていい?」
生徒らに聞かれて、先生は許可をしました。
貧しい日々なので、お菓子や何かを得られることは、子供たちにとってはとても嬉しいことなのです。

木箱を開けようとした瞬間、「パアアアアアアン!」というモノが破裂する音が聞こえ、そこにいる皆が驚きました。

音の正体は気圧の変化に耐えかねて、破裂してしまったコカ・コーラの瓶で、生徒たちはそれに気がつき、また他のことにも気づきました。それは、先生が誰よりも遠くに逃げていたのです。

遠くに逃げて、大地に身を伏せています。
何事になかったことに気がつくと、先生は立ち上がり、とても気まずそうな顔をしていました。
普段は偉そうな人間ですが、危険なときにはまっすぐに皆を置き去りにして逃げるんだなあ、と子供たちは先生を理解していました。

伯父は後年、私に語ります。
「職業倫理を守らないと、一生どころか死んでもバカにされるからね。気をつけんちゃい」

戦後ならではの職業倫理のチャレンジですね。生徒を本当に守れる、守ろうとする性格でなければ、教職の恥は百年は伝わります。


よしふみ
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