レンタルビデオ店の戦争映画作品には近年ロシア製作の作品も並ぶようになりました。
その中に太平洋戦争末期のソ連軍による満州侵攻を舞台にした2作品があります。
その2作品を紹介します。
ラストサマーウォーズ
聞いた事のあるアニメ映画のタイトルのような邦題にされた本作
ソ連軍の特殊部隊を率いるザーベリン大尉が主人公でソ連軍の満州侵攻に従軍して侵攻作戦を成功させる為に奮闘すると言う内容
こう書くと派手なバトルが展開される作品なのかと思われますが少し違うのです。
確かにバトルシーンは良い出来です。
冒頭のドイツ軍との戦いや日本軍陣地を攻める場面は撃ち合い取っ組み合いの見応えがあります。
ですがストーリーの幾らかを日本軍側や日本軍に抵抗するレジスタンス側の駆け引きや内情で進むからです。
日本軍の将校がソ連軍と戦闘になる前に自分と家族を逃がすことをレジスタンスやソ連軍に持ちかけます。それが成功するかどうかが中盤の展開になるからです。
この「ラストサマーウォーズ」も日本軍描写がアレなものです。
戦闘場面では刺突地雷などでソ連軍へ肉弾攻撃を仕掛けるカミカゼな日本兵達に裏切り者を弓矢で殺し覚悟を決めるとして兵士達に切腹させる場面などサムライやニンジャのニッポンと言う感じで日本軍が描かれています。
日本軍将校同士の会話でも誰かについて階級ではなく「○○君はどう思うか?」と言うもなので日本語の会話も怪しいところもあります。
満州帝国崩壊~ソビエト進軍1945~
本作はソ連が健在だった1982年にソ連が製作し公開した映画です。
まさに古い作品なのでソ連製戦争映画「ヨーロッパの解放」を見るような意気込みで見よう。
ストーリーは主人公チホノフ少佐が新兵が多い部隊を率いて満州侵攻作戦に行くと言う内容
満州なのに砂漠地帯を進むチホノフ隊はタイヤが砂に沈み動かないトラックを押し出したり、水の不足でチホノフを初め兵達の水筒から水を集めてたりなど苦闘しながらも前進を続けます。
しかし途上の集落にある寺院から日本軍による攻撃を受けてチホノフ隊は戦闘に入る。
ストーリーの前半は新兵と面倒を見る古参兵が苦労しながら行軍するという内容でのんびりした印象を受ける。
だが後半の戦闘は迫力と言うよりも「当時の人がこういうのを見たのだな」と思わせる内容だ。
不意に物陰から撃ってくる日本兵や足手まといになると殺されたであろう治療中の日本兵がなんとも生々しい。
また砲台との戦いや地下要塞での戦闘は虎頭要塞の戦いをイメージして作られたのかと思わせる。
日本軍の描写では戦車を撃破できる対戦車銃(?)を持っていたり捕虜になった日本兵がいきなり叫び出したり、ソ連軍の銃撃を浴びて消滅する日本兵など謎な描写があります。
ちなみにDVDのパッケージに描かれている九七式中戦車改は出ない。
難点な作品だが
ソ連軍の満州侵攻を舞台にしたどの作品もテンポが良い作品とは言えず「面白いからお勧め」とは言い難い。
あえて言うなら変な日本軍描写とソ連兵の軍装や実際に動くT-34やISー2重戦車を眺める程度に見る作品だと思います。
それでもソ連軍に興味があったり変な日本軍描写を見たい物好きな方はレンタルビデオ店かネット配信を探ってみよう。
(C) ラスト・サマーウォーズ Talan Film Company. 2015
(C) 満州帝国崩壊~ソビエト進軍1945~ 1982 Gorky Film Studio (C) 2004 RUSCICO
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