潜水艦勤務の自衛官は非番で制服を脱いでいても、すぐに見分けられるといいます。
潜水艦乗組員の食事はお行儀が悪い
隣の人と肘が当たりそうなほど混み合った席で食事をすると、潜水艦乗組員は直ぐ見分けがそうです。
そんな状況で左腕をテーブルの下に下げて、右手だけで食事をしている人を見たら、それは潜水艦乗りだといいます。
潜水艦の艦内は他のどんな艦艇より空間に余裕がありません。
だから例えば海士級乗組員の寝台は3段ベッドで、1段の上下空間は寝返りさえ不自由なほどの高さしかありません。
また1日3交代の当直明けの乗員が、1日4回の食事を取る食事室も同様に狭いのです。
普通のように左手に茶碗、右手に箸の食事では、箸を持つ右手が隣の人の茶碗を持つ左手に当たって邪魔になります。
だからマナーとして左腕をテーブル下の降ろしたまま右手だけで食事をする習慣を、訓練生の時に教えられるのです。
これが習慣化した潜水艦乗りは家庭でもついこの食べ方をして、行儀が悪いから子供の前でしないよう、奥さんから叱られます。
ディーゼルスメル
潜水艦隊の基地がある土地のタクシー運転手は、勤務明け直後の潜水艦乗組員がすぐ分かるといいます。
車内に彼ら独特の臭いが充満するのです。
潜水艦の任務は年間で累計半年程度の期間に及びます。
そして出航すると航海中は基本的に潜航したままで、帰港するまで海面に浮上することはありません。
その間、艦内はほぼ密閉状態で空気の入れ替えは極僅かです。
空気浄化装置もあるのですが新鮮な空気は望むべくもありません。
もちろん船内活動に支障があるほど汚染されはしませんが、臭いは如何ともし難いのです。
その主なものはディーゼルエンジンの燃料や潤滑油の臭いです。
加えて1日4回ある食事を作る時に出る調理の臭いや、トイレの悪臭がまじります。
これらが入り混じった潜水艦内特有の臭いをディーゼルスメルといいます。
節水とシャワーと選択
そして空気と共に限られているのが真水です。海水浄化装置で作られはしますが十分ではなく節水は当然です。
使用の優先順位は一番に飲料、次に調理なので、シャワーなどは二の次。
通常3日に1度のシャワーが、航海が後になるほどその間隔が拡がります。だから洗濯などは論外で、毎日洗い立ての下着に換えることなど夢のまた夢。
入浴なしの着替えなしでは体が臭わないわけがありません。
それにディーゼススメルとがブレンドされるわけで、結果、勤務明けで下船直後の潜水艦乗りは、例外なく独特の異臭を発散しながら公共交通機関に乗り込むことになるのです。
参照:兵士を追え 杉山隆雄 著
※写真はイメージです。
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