30代の会社員です。
アニメが好きで、特に『君の名は。』にはかなりハマっていて、映画館にも何度か見に行きましたし、DVDも買って、特典映像を見たり背景に出てくる場所を調べたりしていたので、東京へ行く用事ができたときには、これはもう行くしかないと思って四谷の須賀神社まで聖地巡礼に行きました。
須賀神社の階段は映画の最後に瀧と三葉が再会する場所なので、実際に現地へ行ってみると「ここか」と妙にテンションが上がってしまい、周りに人がいることもあまり気にせず、映画と同じような角度で撮れる場所を探しながら、階段を上ったり下りたりして写真を撮っていました。
30代の男が一人で何をやっているんだという話ですが、そのときは映画の中に入ったような気分になっていたので、本人としてはかなり楽しかったです。しばらく写真を撮っていると、階段の上から若い女性が下りてきて、私が端に寄ると軽く会釈をして、そのまま横を通り過ぎていきました。
それだけなら何でもないことなのですが、聖地巡礼で頭が完全に『君の名は。』になっていた私は、その女性を見ながら「三葉っぽいな」と勝手に思ってしまい、もちろん顔も髪型も服装も三葉とは全然違うのですが、こういう場所でそんなことを考えてしまうあたり、自分でもかなり気持ち悪いと思います。
女性が階段を下りていったあと、私はもう少し写真を撮ってから神社を離れ、夕方にはそのままホテルへ戻りました。
その日の夜、撮った写真をスマホで眺めていると、階段の写真の一枚に、さっきの女性が写っていることに気づきました。階段のかなり上のほうに立っていて、こちらを見ているようにも見えたので、撮ったときにこんなところに人がいたかなと思ったのですが、撮影した時間を見ると、私がその写真を撮ったときには女性と会った時間より少し前になっていて、そもそもその女性が階段を下りてくるところを見たのは、その写真を撮ったあとでした。
そこから写真を何枚か見返していくと、同じ女性が別の写真にも写っていました。しかも、写真によって立っている場所が少しずつ違っていて、最初は階段の上のほうだったのが、次の写真では少し下に移り、その次ではさらに下まで来ているので、撮影した順番を確認してみると、まるで私が写真を撮っている間に、女性が少しずつこちらへ近づいてきたように見えました。
そこで初めて、少し嫌な感じがしました。ただ、そのときでさえ私は「これ、瀧くんと三葉みたいなことだったら面白いな」と考えていて、怖いというより、どこか映画の続きでも見ているような気分になっていたのです。翌朝になってから写真をもう一度確認したのですが、そこで変なことに気づきました。写真に写っている女性は、昨日、実際に階段ですれ違った女性とは顔が違っていました。髪も違いますし、服装も違います。それなのに、私は写真を見たとき、最初は同じ女性だと思っていました。
現地で会った女性の顔をちゃんと覚えているわけではないので、自分の記憶違いだと思えばそれまでなのですが、あの写真だけは今でも削除できずに残っています。
「君の名は。」は今でも好きで、たまに見返すこともあります。
ただ、最後の須賀神社の階段が出てくると、映画とは関係のないあの写真を思い出してしまうので、聖地巡礼については、あれ以来少しだけ考え方が変わりました。
※画像はイメージです。


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