私は40代の男性で、この話は私が15歳のころ、おばあちゃんに聞いた話です。
私のおばあちゃんは、中学2年生のころに戦争を体験しましました。
戦争の前は家の手伝いをしながら、学校に通い、時には小さな妹を背中におんぶして、学校の授業を受けていた。
おばあちゃんが中学生のころは、女性が勉強をする時代じゃなかったそうで、今みたいに高校や大学なんて行く時代ではなかったそうです。
私のおばあちゃんは洋裁が得意で、いつも私たち孫の洋服を縫ってくれていました。
私もおばあちゃんが作ってくれる服は、丈夫で破れにくくて気に入っていました。
「おばあちゃんは、どこで洋裁を学んだの?」
そう聞くと、おばあちゃんは、
「学ぶつもりはなかったんだけどねぇ…。自然にできるようになってしまったんだよ…。」
私は意味が分からず困った顔をすると、おばあちゃんは、
「戦争でね、おばあちゃんの幼馴染が戦地に行くことになって、おばあちゃんは幼馴染に戦地で寒くないように服を作ってあげたんだよ。」
「それから、たくさんの服を作り続けた。」
「幼馴染が寒くないように、破けても替えがあるように、お守りを縫い付けてね。」
「戦争のおかげでうまくなったんだよ。」
私は、驚きました。
「戦争がなければ、お前たちに服を作ってやれるようにはなっていないよ」
とおばあちゃんが言ったからです。
「辛いこと思い出させてごめんね。」
そう言うと、おばあちゃんは、
「いいんだよ。おばあちゃんは戦争があったから、おじいちゃんと結婚できてお前たちに会えたんだから。」
くわしく聞くとおばあちゃんの幼馴染とは、私のおじいちゃんのことでした。
おばあちゃんは戦争が終わった後、戦地から帰ってきたおじいちゃんと結婚したそうです。
その時、おじいちゃんが言っていたのは、
「お前が縫ってくれた服があったから、戦争中も、精神的にやられず、強い心を持っていられた。心の支えだった。」
おばあちゃんも「おじいちゃんが寒くないようにと服を縫っていることが、戦争中の心の支えだった」と言います。
戦争で離れた2人が離れた土地でも、お互いを心の支えにしていたなんて感動しました。
※画像はイメージです。
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