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90年代タツノコの切れ味鋭い作品!「宇宙の騎士テッカマンブレード」を刮目せよ!

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タツノコ・ヒーローズと言えば一般的な認知度で代表選手となるのは、国民的男性アイドルグループメンバーによって実写版を輩出した「ヤッターマン」を筆頭とするコミカル路線の「タイムボカン」系列が挙げられる所でしょうか。しかし、凄惨な運命を背負い、なお明日の見えない死闘へ身を投じていくシリアスでドラマティックなヒーローの姿を描いた作品も少なからず存在し、制作から数十年経った現在も尚、その骨太な世界設定やストーリーラインが色褪せない魅力を放っています。

今回ご紹介する「宇宙の騎士テッカマンブレード」は、そんなタツノコ・ヒーローズの根強い魅力を物語る作品と言え、元となった作品が20年近い時を経て、その根源となる物語の魅力をそのままに、時代性を取り入れて新たに作り直すという企画で以て制作されたものとなっています。

ハードな物語性は尚一層深みを増し、デザインはより先進的でスタイリッシュに生まれ変わるという難しいプロセスを完成までこぎ着けた作品という意味でも一見の価値ありです!

目次

孤独な戦士が戦う姿は「強く」「鋭く」「凄まじく」!生まれ変わった姿の中にタツノコ・ヒーローのDNAが輝く、凄絶な戦いを見届けよ!

本作はタツノコ・プロが送り出したヒーローの中でも「新造人間キャシャーン」や「科学忍者隊ガッチャマン」等のハードな路線のヒーローであり、そのタイトルからも分かるように戦場を宇宙へ移した「宇宙の騎士テッカマン」を源流として再構築したヒーローです。

元は人間ながら、宇宙から来訪した高度な知性を持つ敵性存在「ラダム」の技術によって侵略の尖兵たる「テッカマン」へと改造された結果、鋭角的で硬質な鎧を纏い「~ブレード」の由来ともなった双頭の刃を手にした鬼神の如き姿を持つ「騎士」となり、ある事情から辛うじて残された人間性を燃やすように絶望的な戦いへと身を投じて行く事となります。

その出で立ちは「変身ヒーロー」の流れを組みながらも、掛け声一閃光の中から表われる姿はスマートな人型戦闘兵器を思わせ、縦横無尽に戦場を駆け回っては敵を貫く格闘戦に、持ち前の武器を切る突く投げては仕込まれたワイヤーで引き戻して自由自在に操ると、並み居る敵を前に孤軍奮闘、獅子奮迅のアクションを展開します。

このアクションシーンに関する「語り草」として取り沙汰されるのが、メカアニメの巨匠「大張正巳」氏の手に拠るオープニング・アニメーションの驚異的なクオリティと本編映像が比較されてしまうというものです。

放送当時から既にその名を広く知られていた名手が存分に腕を振るった「作品」と比較されてしまう事は致し方無い所もありますが、それはそれとしてハードなドラマ展開を背景として、時に並み居るグロテスクな化物「ラダム獣」の大軍勢を相手取り、時には同じく「テッカマン」であるライバルとの死に物狂いの奮戦を文字通り「潜り抜け」て行く戦闘シーンの数々は、見れば圧倒される事間違い無しの迫力に満ち溢れています。

また、劇中において語られる「テッカマン」の悲劇・・・変身の度に命を削る事となり、死地を覆す強大な力を呼び覚ます事すらも新たな苦痛を招くという苦闘の中で、新たな戦い方を見出し、或いは少しずつ歩み寄る事が出来るようになった「味方」が新たな戦力を供給出来るようになる等の流れによって、その戦いがただ悲壮なだけではない厚みを増していく感覚が「目に見えて」行くのも、本作のバトルシーンを彩る見所であると言えます。
真に迫った「火花散る」重厚なバトルを最後までご覧あれ!

悲壮な程に研ぎ澄まされる戦い…そこへ「戦う意味」を注ぎ込むドラマからも目が離せない!

本作はその元となったタツノコ・プロの作品「宇宙の騎士テッカマン」を元としてデザインや物語を「再構築」したという、少し変わった経緯を持つ作品です。原タイトルである「~テッカマン」と物語的な関係は無いものの、宇宙から来訪する絶対的な敵性存在を前に、容赦無く滅亡の窮地に立たされる地球全土…その苛烈極まるストーリー展開は、正に「タツノコ・プロ」が送り出して来た「科学忍者隊ガッチャマン」や「新造人間キャシャーン」等、ハードな作品世界を駆け抜けたヒーロー達の系譜を彷彿とするものです。

その「テッカマンブレード」の凄まじく破壊的ながら、孤独で悲壮感をまとい文字通りの「孤軍奮闘」する姿というのも、本来は敵性存在「ラダム」の尖兵として改造されながらなり損なったという経緯に由来するドラマが描かれる事となるのです。それは自分が何者であるかという記憶すら失われ、明らかに人類に属さない「何者か」として恐れられながら、それでもその敵戦力に対し唯一に近い有効戦力として戦果を挙げられるという事実から、互いに「共通の敵」を相手取る中で脅えたような距離を取らざるを得ない刺々しい関係性が構築されていく所から始まります。

敵の攻撃はその間も激しさを増す一方で、その中にあって「テッカマンブレード」に対抗する指揮官兼単独制圧戦力として「他のテッカマン」が送り込まれます。明らかに人としての意思や能力を思わせる彼らと刃を交える中で見出されていくのが「テッカマン」の正体…「ラダム」に改造された「元人間」であり、しかもそれは「テッカマンブレード」と共に歩んだ肉親や同僚であるというドラマが入念に描かれていく事となるのです。

かつての記憶が失われる事は無く、しかしその「ラダム」としての明確な意思を以て敵対する強力極まる敵…交錯する思いの中で、悲壮感は激しさに変わり、命を削るようにして「テッカマンブレード」は新たな力へと目覚めていくという物語が展開していきます。
一方で、人類側も座視しているのみではなく、身命を削って戦う「テッカマンブレード」から、或いは残された技術や積み重ねられていく勝利から、抵抗する術を見出し、その戦いを支える「共に勝利を目指すパートナー」としての立ち位置を作り上げて行く事になります。

当初は戦果もろくに挙げられない中で必死に防戦を続けるのみであったのが、何時しか「ソルテッカマン」や「ペガス」「ブルーアース号」といった、強さを増しながらも疲弊していく「テッカマンブレード」を力強く支える存在となっていく中で、その戦い方が絶望感から「希望へ向かおうとする意思」を見せるように変わっていく事を感じさせる構成は見事という他無いものです。

テッカマンのリブートであるブレードとして

本作は旧作を「再構築」した作品ではありますが、こうした物語を積み重ねて行く事で織り上げられていくドラマという在り方についてはやはり「タツノコ・プロ」作品の息吹を感じさせるものであり、本作のように「旧作が愛好されたからこそ作られた」と思える作品が現在に至るも送り出される意味へ思いを馳せずに居られません。

過去未完に終わった作品を原題に据え、そのハードで遠大な世界観を踏襲しつつも昭和から平成へ変遷した物語へと「リデザイン」したと言える意欲作であり、全50話に及ぶ展開をもってして尚語り尽くせないストーリーが繰り広げられます。1年間という放送期間でこれだけの物語をこなす必要に迫られた故か、そのクオリティにバラつきが見られる等の部分が話題として取り沙汰されます。

結果として、そうした部分だけが話題として一人歩きしてしまう事で「不遇な作品」扱いされてしまう向きを散見する事がありますが、全50話という物語(総集編的エピソードを数話含みはするものの)を描き切った作品であり、秀逸なデザインを損なわずに迫力有る戦闘シーンを作り上げ、同時に細やかで残酷なドラマを仕上げきった事は「名作」の誉れに値するものと言えます。

大長編のハードSF作品がただでさえ希有となりつつ有るこのご時世に、改めてこの「ジャンル」を見直してみる上での作品として、是非多くの方にご覧頂きたい一作です。

出演:森川智之, 出演:松本保典, 出演:林原めぐみ, 出演:横山智佐, 出演:鈴置洋孝, 監督:ねぎしひろし
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「タイムボカン」シリーズ等のコミカル路線がよく知られるタツノコ作品ですが、実はシリアスな作品も大変魅力的です。筆者は本作と「梅津泰臣デザイン版OVA」を入口にしてハマりました。入口が全部リメイク版なのはご愛敬。

テッカマン ブレード (C) 創通・タツノコプロ

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コメント一覧 (1件)

  • テッカマンブレードの記事を書いてくださる方がいらっしゃるとは……ブレードの持つ魅力をたくさん上げてくださり感謝しかないです。
    昨年視聴したのですが濃密なドラマと今なお輝きを放つテッカマンたちのデザインに気が付けば魅了されておりました。願わくばもっと多くの人に触れてもらいたい作品ですね。

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