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テレパスの優位性~我々はアーニャになれるのか?

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アニメや漫画で『SPY×FAMILY』を視聴していると、テレパスについて考える事が多くなる。
主人公格のアーニャは(恐らく)読心のみのテレパスであり、これが物語の重要な要素になっている。
現実的な場面を考えた時、心を読むタイプのテレパシー能力とは、一体どういったものになるのだろうか。

目次

テレパスはいつもひとつ、ちちの名にかけて

アニメ内で、アーニャのテレパシーは、最強格の能力として描写されている。
だが、それは多くの場合主人公補正に支えられている。

まず、敵側にテレパスがいれば、彼女の優位性はゼロになる。

この辺りの話は漫画『サトラレ』に詳しい。
相手がテレパスと気付いた時、相手もテレパスである事に気付く。この時、むしろ能力のない人間同士よりも、互いがマーキング出来てしまい、狙うのが容易だ。

動きを察知して逃げると言っても、その思考が読まれれば当然、追い付かれる。
対峙して、相手の銃が狙う先は分かっても、飽和攻撃や、複数人で同時に狙われれば防ぎ切れない。
すなわちテレパスが、殺し合いの場面で有用なのは、同じ能力持ちがなく、能力が知られていない状況である。つまり、初見殺し専用に近い。

パスワードを暗証するのはいつ?

世界でたった独りのテレパスだとしても、テレパシーという能力は不十分だ。
人間には簡単に言っても、表層意識と深層意識がある。
敵からこっそり情報を引き出したい時、表層意識しか読めないなら、望んだ情報を読み取るのはほとんど無理に等しい。
夕食のハギスを食べている時に、国家機密が入ったフラッシュメモリのパスワードを思い浮かべる者はあまりいない。

このタイプのテレパスは、相手と対面して声に出して問いかけ、相手の表層に記憶を引っ張り出す必要がある。
つまり、尋問の場まで引っ張って来ないと難しい。相手をそこまで意のままに出来るなら、拷問で聞き出すのとあまり変わらない。
情報収集専門機関による拷問の場合、どんな相手からでも、必ず情報は引き出せるという。
個人的な能力差は、僅かな所要時間差でしかないそうだ。人間の脳が、脳内物質によりコントロールされる物理的存在だと考えれば、誇張とも言えまい。

深層意識の沼の中

なら、深層意識にも潜り込めるタイプならどうか。
これはもっと役立てるのが困難だ。

例えば、有名人が日記を書き、それをクラウドに上げているとしよう。
大ファンであるあなたは、彼が利用するクラウドサーバにハッキングをかけ、成功した。
さて。
件の有名人の日記データは、ドライブのどこにあるだろう。
フォルダ名は法則性がなく、検索機能は使えない。

これが、深層意識に潜り込むテレパスの直面する状況だ。
情報はあるが、細かすぎてちっとも伝わらない断片が、ぎっしり積層している。では、検索機能が使えたら良いのか?
ヒットする可能性はある。
だが、出て来るのは、日記データだけとは限らない。
そして、その日記は、事実だけではなく、妄想や自作ポエムも混じっている。
無論、その相手のものなら、髪の毛でも爪でも使用済みストローでも良いという熱狂的ファンなら、ポエムも喜べるだろう。
だが、何らかの情報を引き出したい時は、やはりノイズでしかない。

更に深く心に入り込めたらどうだろう。
深層意識を操る、自我の領域まで読み取り、同期出来る状態だ。
これなら、本人同様思い出せる。
本人の記憶が丸ごとあるのだから、当たり前だ。
だが、そこにあるのは、本人でしかない。
テレパスの自我は乗っ取られるか、さもなくば1つの脳が2人の自我を抱え、かなり厄介な事になる。

実用的テレパスは、何が出来るのか

こう考えて行くと、どうもテレパスも楽ではない。
現実的なテレパスを考えるなら、アーニャ的な表層意識型、しかも世界にたった独り、という状態だろう。
これはやはり、主人公補正があって、やっと使える程度だ。

相手の表層の思考を読み、それに対処する事で利益が得られ、しかも自分がテレパスである事をばらさない。
そんなものが、どう現実の役に立つだろう。
なくはないか。
ギャンブルがそうだ。
でも、違法なもので勝ち続けても、やがて排除される。
せいぜい、賭けない遊びの範囲だろう。
例えばそう・・・将棋とか。

※画像はイメージです。

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