テストパイロットの報酬は社長より多かった

ジェット戦闘機の黎明期、その開発に当たって機体の飛行テストを行うテストパイロットは、社長の収入を上回る報酬を得ているという噂が航空機業界にありました。

理想のテストパイロット

Glenn Research Center [Public domain], ウィキメディア・コモンズ経由
1942年、米国初のジェット戦闘機を開発した航空機メーカー、ベル・エアクラフト社は、その後超音速速度実験を繰り返していました。

1956年、テスト機X-2でマッハ2.93の速度記録を達成し、世界最速の男を呼ばれたフランク・ケンドール・エベレストは、 理想のテストパイロットについて次の様に語っています。
「テストパイロットとしての人並み以上の熱意、年齢21歳、100種類の機種と5000時間以上のジェット機飛行時間、航空工学について博士号並の学力」

若すぎる21歳の理由

機種・飛行時間を見ると経験豊富なベテランになります。21歳は若過ぎるので、実際にこんなパイロットはいないと彼も言っています。
にも拘わらず敢えて21歳という年齢を挙げたのは、加齢による身体能力の衰えもありますが、 人は歳を経るほど生き永らえる気持ちが強くなるからだというのです。

家族や社会的責任など人生のしがらみが増え、その分天寿を全うする気持ちが増大するのです。
しかしそれは人として全く自然の事で何ら恥じる事ではないが、テストパイロットとしてはマイナスである彼は考えていました。

限界を少し超える責務

プロペラ機からジェット機への進化は、様々な面で人類が経験した事ない未知の領域で、燃料の種類と燃焼温度、空気抵抗と機体強度などについて、過去のあらゆるデータはありません。
その時の技術で得られる部品の耐久性の限界は、故障して初めてわかるのです。

テストパイロットはそれまでに判明している安全圏から、少しだけ限界を超えた状況に踏み出す事を常に求めらていました。
そして超高速で動くジェット機においては、故障は乗員の死に直結する可能性が高いのです。
フランク・エベレストが勤務した6年間だけでも、13人のテストパイロットが事故死しています。

大袈裟や比喩ではない、正真正銘の命を懸けた仕事。それがテストパイロットという職業でした。
社長より高い報酬もあながち噂ではなかったのかもしれません。


歴史大好き爺さん
歴史大好き爺さんです。
戦後まもなく、米軍が接収したかつての帝国陸海軍の飛行場の傍に住んでいた人達は、プロペラのない飛行機が恐ろしく速い速度で飛んでいると驚いたそうです。

※画像は一部イメージです。

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