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灘の怪~ターボばばあ~検証

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平成初期・・・深夜、兵庫県道95号灘三田線「六甲山トンネル」内を、1人のドライバーが車を走らせていた。
先を急ぐ彼は、通りの少ない時間という事もあり、トンネルの中ながらスピードを上げていた。

流れて行くオレンジのトンネル灯の中、彼はアクセルを踏む。
時速100、105、120、心の焦りを感じつつも「これ以上は流石に危ない」そう思った時。追い越し車線に人影が見えた。
「ノーヘルの単車乗りか? 高速道路で?」

違和感に、視線が引き寄せられた。
そこに見えたのは。自らの脚で走る、和服のババアだった。

相対速度時速20km程で走り去るババアを、ドライバーは呆然と見送りそうになりつつ、運転に集中する。
スピードを落とし、その後は安全運転で無事に目的地に辿り着いたのだった。
ドライバーから話を聞いた走り屋達は、トンネルというマジヤバな危険地帯で、イカれたスピードでかっ飛ばす、命知らずの走りに賛辞を込め「ターボばばあ」と呼んだ。

目次

ターボばばあの伝説

ターボばばあは、都市伝説の怪異の1つである。
「ターボばあちゃん」という呼び方もあるが、ばばあの方が格好いいので、ここではばばあとしておく。
「砂かけばばあ」が、「砂かけ婆ちゃん」、「鬼婆」が「鬼ばあちゃん」だと、締まらない理論である。

目撃例として語られるより、笑い話として語られる方が多い怪異だ。
伝説のシンプルさとオチのなさゆえに、危害を加えるタイプの派生も多い。

これが完全な作り話ではなく、元になった目撃者が実在した場合は、居眠り運転による短時間の夢と考えられる。
高速道路の運転が、景色と操作の単純さで眠りを誘うのは、よく知られた現象である。
運転免許を持っていれば、高速講習の座学で習う筈だ。
居眠りといっても、3秒も寝ていない、一瞬意識が途切れるだけだ。
この浅い眠りは夢を見やすく、ほとんど現実とシームレスになる。
一方、夢の中の時間感覚は比較的自在なので、一瞬では終わらない。

他に、見間違えも充分あり得る。
暗いトンネルの中で、白や灰色のヘルメットのライダーが追い越しをかけた時、ピラーの陰にバイクが隠れれば、白髪のばばあに見えた可能性は充分あり得る。
他に、女性のライダーが追い抜いていったという話に、尾ひれが付いた可能性もある。

高速道のトンネル

ターボばばあの現実的構造

ターボばばあが実在した場合について、オカルト視点で考えてみよう。

人間がそんなスピードで走れるのだろうか。
人類の最高速は時速50kmという説がある。
二足歩行はスピードの増加に合わせて接地時間と摩擦が減り、加速困難になっていくため、次第に限界速度へ収斂していく。

四足歩行の場合はどうだろう。
チーターは時速130kmを出すというから、限りなくターボばばあの時速140kmに近い。

だが、ターボばばあが四足歩行という説は、棄却すべきだろう。
ターボばばあという呼び名そのものが原因だ。
人間は二足歩行をする。四足歩行するものを見た時、人間は先に「人間ではない」と認識する。
これが出来なければ、森の中で獣と同属を瞬時に判別出来ない。四足歩行の獣は狩るにせよ逃げるにせよ、迅速な判断が必須だ。

まず四足歩行を判断する。それは本能レベルで染みついている筈だ。
そんな目で四足で走るばばあを見た時、もっと別の四つ足動物と直観するだろう。

つまり、ターボばばあは、人間のように二足で走りながら、人間には絶対出来ない速度を出したという事だ。
やはりターボばばあは、怪異の類かUMAと断定して良いだろう。
怪異ならスペックはお手盛りだ。140km出そうが、月と一緒に空から上がろうが構わない。
だがしかし、もう1つの構成要件を忘れてはいないか。

「ターボ」である。

過給問題

ターボばばあは、ターボばばあである。高速ばばあでもスピードばばあでもない。
となれば、目撃者は見たからこそ付けたのだ。
ターボ過給機構を。

ターボ過給器とは、簡単に言えば、排気ガスの力で大量の酸素(空気)を取り込んでエンジンの燃焼効率を上げるシステムだ。
だが、そんなものが怪異に付いているのだろうか?

人を真似た怪異である以上、人間と似た内臓配置をしているものと考える。
この時、エンジンは心肺機能である。高圧で肺に押し込んだ空気から、肺胞のガス交換で爆発的に酸素供給し、酸素たっぷりの血流で筋肉を動かさせ、運動を行う。
なるほど、確かにターボで空気を過給しなければ、酸欠になって息切れしてしまう。

さて、ここにきて、ターボ構造に困難が生じる。排ガスが利用出来ないのだ。
人間の肺呼吸は、出入り口が同じだ。
過給のために吐いた息を使おうとしても、その時は吐いているからベクトルはマイナス方向だ。
後ろから出るガスに屁があるが、屁は消化管から出るもので、咽頭より先に気管との接点はない。
であれば、肺から直接外気を逃がす穴が開いていると考えるべきだろう。
こうすれば、肺胞でガス交換した後の空気を、吸気を邪魔せず体外に捨てられる。
背中か、肺の下方向から管を飛び出させ、ここから排気が出るようにしよう。

いや待て。吸気と排気が同時に行える生物が存在する。
それもかなりのスピードで。

魚類である

鰓呼吸は、肺胞が露出しているようなものだ。水流に鰓を晒し、そこから酸素を吸収する。
乾いた空気であっても、機械的な構造が同一であれば、同じように吸いながら吐く事は可能である。
二足歩行している以上、横隔膜はある筈なので、排気部分にある程度の圧をかける事も出来るだろう。
この排気でタービンを回せば、ターボチャージャーの出来上がりだ。

ターボチャージャー

結論「ターボばばあ」

従って、ターボばばあとは、

・二足歩行である
・鰓呼吸である

という要素を持つ事が判明した。

我々はこのタイプの生物を「インスマウスの怪物」と呼ぶが、ここでは発見場所に敬意を評し「灘の怪物」と呼ぶべきだろう。

我々はターボばばあを探し、トンネルを走ったが、これは全くの勘違いだった。
探すべきは、海だったのだ。

ターボばばあの侵略は、いつとも知れぬ。
瀬戸内海から、決して注意を逸らしてはならぬ。

※画像はイメージです。

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