日本は地政学的紛争危険地域にある。
地政学概略
地政学概略とはなんでしょう。
具体的に解説していきます。
シ―パワーとランドパワー
国家の経済的繁栄は海上交易によってこそ達成されるもので、そのための海上航路及び海外拠点の安全確保には、相応の海上戦力が不可欠であるという理論がある。
この理論における力をシ―パワ―(海上権力)といい、シ―パワ―を持ち得る国家とは隣国との国境線が主に海上にある、例えば英国・米国・日本などである。
現在、米国は空母を中心とした空母打撃群を11部隊保有し、有事対処におけるこれら部隊の全地球的急展開体制を整える事で、自国の安全保障を全うしようとしている。
米国のこの戦略はシ―パワ―理論を基本にした発展形である。
一方シ―パワ―に相対してランドパワーがあり、主に陸上の国境線で隣国と接している国でロシア・中国などが該当し、陸上権力が主力となる。
ハートランドとリムランド
欧州列強の植民地支配が飽和状態となった以後、世界はパイの食い合いのような覇権争いに突入し、その主な闘争はシーパワーとランドパワーによる、という学説が唱えられるようになった。
この学説では、ランドパワーを持つ主な地域をハートランドと規定し、寒冷少雨で生活が厳しいため人口が少なく貧しい。そのため温暖で人口が多いので文明が発展し、農業や海運によって富が蓄積されていて豊かな周辺部地域への進出を、
ハートランドは常に企画すると説明している。
この富裕な周辺地域はリムランドと規定される。
ハートランドの具体的な主な国とはロシア・中国であり、リムランドは西は東欧に始まり、中東からインドや東南アジア、そして極東の太平洋岸の諸国が該当する。
地政学的闘争史
スペイン、ポルトガル、イギリスなどが世界中を分割統治した時代は、シ―パワ―の時代だった。
その後ドイツ帝国やロシア帝国といったランドパワー国家が勢力を盛り返し、それから、米国・日本などシーパワーの国が台頭する。
その後の米ソの覇権争いや、今日の中国・ロシア対米国・西側諸国の対立は、全てシ―パワ―とランドパワーの相剋と見ることができる。
さらにはそれぞれに戦争の発火点や主戦場になった地域をみると、第一次大戦では東欧の国ボスニアの首都サラエボの事件が発端で、ボスニアが位置するバルカン半島は当時ヨーロッパの火薬庫といわれた。
また太平洋戦争では東南アジア全域が一つの主戦場となり、戦後には朝鮮半島やインドシナ半島で争いが断続的に続いている。
そして現在、東欧のウクライナや中東のガザが激しい戦火に覆われている。
これら紛争地はリムランドとほぼ重なっているのである。
このように世界の闘争の歴史は概ね地政学的理論に沿っている。
日本は地政学的危険地域
日本は太平洋戦争後、一見紛争のない無風地帯のような様相が続いてきた。
しかし近年急成長した国力を背景に、相当強引に南シナ海での勢力拡大を図った中国が、東シナ海でも台湾や日本の尖閣列島に対し、武力行使を伴いかねないほどに圧迫し始めている。
この状況が決して特別な一過性なものでないことは、例えばお隣の朝鮮半島が実は今に至るも戦争状態であり、単に休戦しているに過ぎない事を見ても明らかである。
地政学見地からは日本は、ハートランドのランドパワーが進出を企てるリムランドに属している。
つまり侵攻するランドパワー中国と、それを防ごうとするシーパワー米国が衝突する、極めて危険な紛争地域に、日本が否応なくあることを覚悟しなければならない。
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