この話は、私が8歳のころにおばあちゃんから聞いた話です。
おばあちゃんは、涙を浮かべて話してくれましたのでした・・・・
お見合い
おばあちゃんとおじいちゃんは、親戚の紹介で知り合ったそうです。
昔は年頃になったら、必ずと言っていいほどお見合いさせられていたと言います。
おじいちゃんに初めて会った時、おばあちゃんは緊張していて、あまり話せなかったそうです。
おじいちゃんと2人になった時、おじいちゃんが
「大丈夫ですよ。何も話さなくても。」
「これから何度も会うんですから、その間に話してくれるようになってくれればいいです。」
こう言ってくれたと言います。
それを聞いた時、おばあちゃんは「なんて優しい人だろう。」と思ったそうです。
それから何度も会っているうちに、おばあちゃんは「私は、この人の妻になるんだ。」と思ったそうです。
戦争で引き裂かれた仲
おじいちゃんとおばあちゃんが何事もなく幸せな日々を過ごしながら、これからの結婚生活のことを考えていたころ戦争がはじまりました。
まわりの知り合いたちが次つぎと戦地に赴く中、とうとうおじいちゃんにも召集命令が来ました。
行きたくないとは言えませんと、おじいちゃんはおばあちゃんに言いました。
「きっと、帰ってこれないと思う。誰かのお嫁さんになりなさい。」
それでも、おばあちゃんは、言いました。
「待っています。」・・・と。
おじいちゃんが戦地に行く日、おばあちゃんはあるものを渡したそうです。
それは、おばあちゃんが自分の着物から作ったお守りでした。
おじいちゃんはお守りを受け取り、戦地に旅立ちました。
おばあちゃんは、おじいちゃんに笑顔を覚えていてもらいたいと思い、おじいちゃんが見えなくなるまで泣かなかったそうですが見えなくなってからは、ずっと泣いていたそうです。
戦時中の手紙
おじいちゃんが戦地に行ってから、初めて手紙が届きました。
おばあちゃんは、うれしくて何度も読み返したそうです。
そこには、おばあちゃんを思う言葉が続いていたそうです。
おばあちゃんも返事を書きましたが、戦地から返事が届くまでにかなりの日数がかかったと言います。
おじいちゃんからの返事が届くまで、心配で心配で眠れなかったそうです。
ある日、おじいちゃんの戦死の知らせが届きました。
しかし、おばあちゃんは、死ぬわけないと信じなかったそうです。
おじいちゃんが帰ってくるまで、自分も死んじゃいけないと戦火から逃げ続けました。
終戦
長い戦争が終わり、おばあちゃんは栄養失調にはなっていたものの生き延びました。
おじいちゃんが帰ってくるのを、ずっと待っていたそうです。
それから半年後、おじいちゃんは帰ってきたのです。
おばあちゃんは、喜び、抱きつき、泣きました。
終戦からすぐに2人は結婚し、私が4歳のころ、おじいちゃんが亡くなるまで幸せに暮らしました。
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