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目的が明確でない大日本帝国軍の戦争

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戦争は戦う事そのものが目的ではありません。そこには政治的な事を含めた様々な「何かしら」の目的が必ずある筈で、その戦略及び作戦には目的が明記されるのは当然です。

目的が明確でない時、戦争は迷走を始めます。
太平洋戦争の日本軍はこの過ちを犯しました。

それは何故?

目次

はっきりしない日本軍上層部

日本軍とソ連・モンゴル軍との国境紛争として大規模な戦闘に発展したノモンハン事件は、関東軍と現地軍の独断専行のよる強硬策が問題視されますが、 紛争不拡大方針だった大本営が、それに沿った明確な指示命令をしなかった事で戦闘が拡大しました。

またミッドウェイ作戦では連合艦隊司令部の主目的が米空母群の殲滅だったのに対し、軍令部ではミッドウェー米基地の制圧占領が主となっていました。

さらにレイテ沖海戦では、米軍フィリピン攻略部隊の殲滅が目的だったにも拘らず、 栗田艦隊はその主目的を果たさずに「謎の反転」をして米機動部隊との艦隊決戦に向かいました。

いずれも上層指導部と現地軍との認識乖離が重大な負の結果を招いきました。

腹芸の日本と民主主義の米国

例えば太平洋艦隊司令長官ニミッツは、ミッドウェイの海戦で「敵空母以外の物に攻撃を繰り返すな」と厳命しています。
また空母部隊司令スプールアンスとは私生活でも深く交わって意思の疎通を図っていました。
スプールアンス自身、その幕僚達と空母飛行甲板で長時間話し込んでいる姿がしばしば目撃されたといいます。

米国は開国以来の議会制民主主義の国です。
人は個々考えが違うのは当たり前で、その違いを克服して協力し合う為には徹底した話し合いが不可欠である事は、彼ら米国人にとっては至極当然の意識なのです。

対して日本人にとっては意思は上位下達するもので、その伝達途中に阿吽の呼吸によって認識のズレを修正する腹芸が尊ばれました。
多くを語らず下位のものに任すのが大物。上位の意を忖度して先回りして行動するのが切れ者・・・という事です。

いまなお脈々と続く

前項の各作戦の目的についての日本軍司令部と現地軍との微妙な認識の相違は、意思疎通に関するこの根源的な意識によるものだったのではないでしょうか。

現代に至ってもなお、はっきり意思表示する欧米人と、ただ微笑んでいるだけで何を考えているのか分からない日本人の比較が取り沙汰されます。

歴史大好き爺さん
今も昔も日本人の気質はあまり変わっていない様です。

※写真はイメージです。

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