大艦巨砲主義が主流であった帝国海軍の中で航空機中心の戦力を重要視し、真珠湾攻撃やマレー沖海戦によってその実効性を証明した山本五十六。
彼の頭の中にあった海軍戦力の在り方は、現代の海軍戦力の基礎となっています。
海軍における航空機戦力
真珠湾攻撃で米太平洋艦隊に大打撃を与えたの航空機でした。
航空母艦を中心とする機動部隊を敵地近くに派遣し、航空戦力のみの攻撃で大戦果を挙げたという意味で、この戦闘は世界的にも画期的なものでした。
またマレー沖海戦では海軍航空隊が英国戦艦プリンス・オブ・ウェールズと巡洋艦レパルスを撃沈しましたが、海戦において交戦中の軍艦を航空機戦力のみで撃沈したのも世界初の出来事でした。
以後太平洋戦争における海軍は、日米共に空母を核とする機動部隊が主力となります。
帝国海軍 伊400型潜水艦
伊400型潜水艦は当時世界でも類を見ない巨大潜水艦で、水上攻撃機・晴嵐を三機搭載できる事から世界初の潜水母艦と称されました。
理論的には地球一周半の航続距離を備えていたので、日本から地球上の全ての海域に一航海で進出する事が可能でした。
この潜水艦の開発は、米国本土の東海岸主要都市攻撃による対米圧力を目的として、山本五十六が立案したものです。
山本の死後となりましたが、昭和19年に完成した伊400を使って、パナマ運河攻撃を攻撃破壊する作戦が実際に発動されています(途中作戦中止)。
現代の海軍力
現在、世界一の戦力を誇るのは米国海軍の中心は、やはり世界の海に展開している空母打撃群です。
そしてその元祖は山本五十六が作り上げた帝国海軍機動部隊に違いありません。
当時米国が機動部隊を本格的に整備したのは、真珠湾の敗北とマレー沖海戦の結果を見ての事でした。
また、現代の戦略型原子力潜水艦は、七つの海の何処かに常に潜んで敵に対する報復核攻撃という圧力をかけ続けています。
山本が考えた伊400型潜水艦による対米圧力は、戦略型原潜の原型であると考える事ができます。
この様に見て行くと、山本五十六という軍人が奇想天外と周囲から言われるほど先見的進歩的だったばかりでなく、いかに現実的実際的だったのかが理解できます。
山本五十六は現代という未来を見事に先取りしていたのです。
eyecatch source:撮影: 海軍省Ministry of the Navy / Public domain
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