2022年(令和4年)に海上自衛隊は新たな船が配備された。
それが「油槽船1号(YOT-01)」型です。
海上自衛隊がこの船を持つ意味はとは?
自前のタンカー
海上自衛隊初となるタンカーである「油槽船1号」型
全長105m・基準排水量4900トン・最大6000キロリットルの燃料を載せられる。
民間企業が持つタンカーと変わらない大きさや搭載能力です。
これは補給艦とは違います。
洋上での護衛艦など艦艇へ給油する機能は備えられていません。
あくまで燃料を運び、積み下ろしする。民間のタンカーと変わらない船です。
海上自衛隊は民間のタンカーと同じ船を持つ事となったのでしょうか?
この「油槽船1号」型は2018年(平成30年)に閣議決定された平成31年以降の中期防衛整備計画で盛り込まれました。
平成31年中期防の「後方分野を含めた防衛力の持続性・強靭性を強化します」の項目で「燃料の確保」の部分で「油槽船の新たな導入等」で書かれたのが最初になります。
こうして「油槽船1号」は「4900トン型油槽船」として2019年度の予算で計画され、57億円の費用をかけて2隻建造されました。
「油槽船1号」型を2隻保有した海上自衛隊は自前でタンカーを持つ事となりました。
これまで海上自衛隊の基地へ燃料を運んでいたのは民間企業でした。
それを海上自衛隊が自ら行うと言う事になりました。
民間企業の製油所から海上自衛隊の基地へ運ぶのが「油槽船1号」型の役目です。
民間で出来ている仕事を、自衛隊があえてするのは何故なのか?
これは平時であれば、民間企業へ燃料輸送を依頼する外注の費用を削減する意味もあります。
また民間企業に依頼すると、その企業が抱える他の注文との日程調整があり、すぐに納品に来てくれるとはかぎりません。
自前のタンカーがあれば、石油会社に連絡して製油所へ直に取りに行く事が可能になります。
海上自衛隊が「油槽船1号型」を持つのは燃料を調達する自由度を高める意味があります。
有事の為の船?
「油槽船1号」型は呉基地に配備され、乗員は海上自衛隊の隊員です。
これは民間に依頼するコスト削減の意味だけではなく、有事になった場合でも動けるタンカーと言う意味があります。
有事が起きた時、戦闘地域や戦闘地域に近い基地へ燃料を運べるタンカーとして「油槽船1号」型が投入される可能性は高いでしょう。
しかし、そうした危険性が高い海域へ「油槽船1号」型を航行させる場合、護衛をしっかり出来るのかが新たな課題となります。
護衛に失敗して、補給が届かず拠点の戦力が低下し陥落する。
太平洋戦争と同じ結末にならないように願いたいところです。
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