冬になると思い出してしまう・・・あの出来事。
除雪が必要な冬の朝
私の住む地域は豪雪地帯と呼ばれるところで、冬真っ盛りのシーズンになると日のように雪との格闘になります。
かつて私が勤めていた火葬場は、火葬のない日でも職員が交代で毎日勤務をしています。
前日から雪が降り続き、一晩のうちに40~50cmほどの積雪になっていました。
こういう日は駐車場と建物の屋上部の除雪作業が必須になり、駐車場は除雪機が使えるのですが、屋上はスコップを使っての手作業となります。
厚い雲の影響で夕方のように暗い朝、まずは屋上からと雪かきを始めました。
大雪の中に女の声
かなりの勢いで雪が降っているなかの作業で、なかなか終わらせる事ができない中、ひと呼吸ついたところで何かが聞こえてきます。
鳥や動物がやってくる事はまずないでしょうし、まして、屋根の上には私一人。駐車場を担当していた職員達も作業を終わらせて施設の中に入ったようで、屋外には誰もいません。もしも、来場者だとしても屋上にいるので丸わかり。
つまり周辺には私一人しかいないのに、なぜか女性の声が聞こえてくるのです。
誰かと話しているようではなく、やけに甲高くて大きな声で独り言を言っているようなのです。
どうしてこんな状況で人の声が聞こえてくるのかと想像すると、寒さではない鳥肌が立ちました。
徐々に近づいてくる
・・・まさか雪女?
なんて思いながら作業をしていると、屋上への出口の扉のから聞こえてくるようなのです。
徐々に近づいて来ているようで声が大きくなってくるのですが、絶叫と激しい笑い声が混ざっているような、なんとも表現で何を話しているのかまったく理解できないのです。
私は恐ろしくなり、逃げたいと思っても屋上への通路は声が聞こえてくる扉だけ。雪が積もっているならば、そこへ飛び込めばと思う方もいるでしょうが、雪は固くてケガをしてしまうかもしれません。
やって来たのは
徐々に徐々に声が近づいてくるなかで、逃げ場もなく突っ立ったままでいるしか出来ません。
寒さが原因ではなく、体も動かなくなってしまった。
ドアのすりガラスに人影がうつり、ドアノブがカチャリとひねられドアが開いた。
もうだめだ・・・と思った瞬間、そこに現れたのは屋根の雪かきの様子を見に来た同僚でした。
どうやら助かったようです。
やってきた同僚に「なんで変な声を出しながら来たのか?」と問いただすと、なにも話していないという。
状況を説明しても、お互いになにが起きたのは理解できませんでした。
ただ十分に着込んで作業していたので、いつもならすこし汗ばむぐらいなのに、体が冷え込んでいたのは確かでした。
※画像はイメージです。


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