台湾発オリエンタル霊異譚TRPG「幽冥鬼使」

幽冥鬼使（ゆうみょうきし）は2023年3月に発売されたTRPGで、元々台湾で「幽冥鬼差（ゆうみょうきさ）」という名前で出ていた同人TRPGでした。

SNSの投稿をきっかけに日本でも注目され、「ふしぎもののけRPG ゆうやけこやけ」「永い後日談のネクロニカ」を送り出したインコグ・ラボによってリファインという形でリリースされ、その際、舞台も台湾から日本に移されています。

プレイヤーキャラクター「鬼使（きし）」

プレイヤーキャラクターは天寿を全うできず死んでしまった人々です。

この世界では天寿を全うした者は、死後冥府の審判に臨めます。そうではない者、例えば不慮の事故や自殺で本来の寿命と異なるタイミングで亡くなった者は、その場に留め置かれて地縛霊のようになるか冥府に引き渡されたのち、「枉死城（おうしじょう）」と呼ばれる場所で、寿命を迎えるはずだった時まで軟禁されます。
お盆に家族に会いに故郷に帰ることもできないまま、長い時間を過ごさなければなりません。

一方で冥府は人手不足です。素質があれば、このように軟禁されている魂も冥府の使い、「鬼使」として取り立てることもあります。必要な素質は３つ。

１つ、天寿を全うできずに死んだこと。
２つ、強い未練があり、成就したい願いがあること。
３つ、そして神仏に縁があり、霊力を持つこと。

これらを満たしたものが冥府の役人に見出され、鬼使となるのです。

鬼使として現世に舞い戻り、現世にひそむ悪しき怪異を打ち破るのが、鬼使の目的です。そして、鬼使の仕事を続けていくうちに未練を成就し、やり残したことがなくなったら、鬼使はその役目を終え、新たな生を得るのです。

生前の姿かたちでは現世に戻れない

キャラクター達は一度死んでから現世に舞い戻っています。現世の秩序を破らないよう、生前と同じ姿形はとれません。生前より若い頃の姿をとるもの、性別を変えてしまうもの、様々な姿で現世へと舞い戻ります。生前の親族や友人と会うことも最小限にしなければなりません。

たとえ、どんなに愛しい人が目の前にいたとしても、あなたは生前とは別人の姿かたちをしています。愛しい人から、生前のあなたと認識されることは難しいでしょう。

判定はゾロ目次第

判定は成功する。でもどれくらい成功するかはゾロ目次第！？
鬼使は強い霊力を持ちますから、やろうとしたことは必ず成功します（「成果」と呼びます）。

成果は「優」「良」「可」の3段階があります。判定方法はユニークで、6面サイコロを4つ振ってゾロ目が出たら取り除き、残り２つの出目を見るというもの。これに技能値を足して、目標値以上なら成果は「良」で、予定通り成功します。

出目が全てゾロ目揃ったら成果は「優」で、目を見張るような素晴らしい成功です。陰徳値が1点たまります。この場合出目の合計値は参照しません。1が4つ出ても成果は「優」となります。

出目が全てバラバラでゾロ目がない場合か、ゾロ目を取り除いて技能を足しても目標値未満だった場合は成果「可」となります。ひとまず行動自体は成功しますが調査していることが黒幕にバレてしまったり、落とし物をしてしまうなど何らかのアクシデントが起きます。

もちろん、毎回ゾロ目が出るとは限りません。全部バラバラだったら成果は「可」ですから何かしらのアクシデントが起きてしまいます。これを解決するために「招福（しょうふく）」が行えます。

例えば目標値8の判定をした時、サイコロの出目が2・3・4・5だったとします。このままだとゾロ目がないので成果は「可」ですが、「招福」を行うことによりサイコロの出目を１つ±1できます。

これで先ほどの出目の2を3にして、3・3・4・5に変更し、3・3のゾロ目を作って取り除くと出目が9になり、目標値以上になる為成果を「良」にできます。

「善」を積み陰徳値をためよう

「善」を積み、陰徳値をため、良き成果を引き寄せよう。
「招福」を行うには場に出ているキーワード（「述符」）を絡めて描写を提案するほか、「陰徳値（いんとくち）」というものを1点払わなければなりません。サイコロの出目を2つずらすなら、2点必要です。

陰徳値は「善」を10点ためると、シーン終了時に1点もらえます。

「善」はセッション中にカッコ良いRPをしたり、素敵なRPや活躍をしたと思ったら他のプレイヤーやGMからを渡します。これが10点溜まると陰徳値1点と交換できます。セッションは積極的にロールプレイをして「善」をたくさん得て陰徳値を貯め、後々の判定を有利にしていきましょう。

また、自分がもらうだけではなく他の人のロールプレイを見て、「このロールプレイやこの判断いいな！」と思ったらどんどん「善」を渡していきましょう。

国産とはひと味違ったTRPG

和と大陸の世界観が不思議にマッチしたオリエンタルな雰囲気の中、未練を抱えた者たちの織り成す人間模様と戦い。ルールブックにはすぐに遊べるシナリオが何と7本あり、公式サイトにはココフォリアとユドナリウムで使えるセッションルームがあります。

今までの国産TRPGとはひと味違った舞台で遊びたいあなたはチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

※画像はイメージです。