持っていると不幸が降りかかる、というものがこの世には存在します。
身の回りで良くないことが相次ぐため、その原因になっていると思われる品を手放す、などという話はよく耳にします。
つぼや道具などの骨董品、古い人形など、アンティークショップのようなところで売られているもの達には、時にすさまじい念がこもっている場合があります。
今回は、かつて持ち主に不幸が降りかかったという、見るも恐ろしいある幽霊画を紹介します。
所有者が不幸になる幽霊画を展示した曼殊院門跡
近江のある豪商の家に、幽霊画の掛け軸がありました。
ある時、その家系の人々に、様々な災いが降りかかるようになります。
あまりにも不幸な出来事が立て続けに起こったので、家の者は「もしかすると家にある幽霊画が原因かもしれない」と考えました。そして、滋賀県米原市にある清瀧寺徳源院に幽霊画の供養を依頼したのです。
清瀧寺徳源院の住職であった方が、京都市左京区にある曼殊院門跡という寺院の門主も務めていたことから、その曼殊院門跡にこの幽霊画を飾ったようです。
曼殊院門跡では一般に広く知らせることなく静かに展示していましたが、人々の間で噂は広まり、見物客がたくさん集まるようになりました。
曼殊院門跡は、秋になると境内の木々が赤く色づいてとても素晴らしい景観を作り出します。
最澄が創建したのが始まりのこの寺院は、静かで厳かな雰囲気を醸し出していて、参拝する人々の心を落ち着かせます。
静寂が漂う紅葉の名所として有名であった曼殊院門跡ですが、幽霊画を所有しているということでも有名になったのです。
現在この幽霊画は曼殊院門跡ではなく、元々所有していた清瀧寺徳源院に戻っています。
見る者を震え上がらせる「絹本淡彩幽霊図」
所有者に不幸が訪れたというこの幽霊画は「絹本淡彩幽霊図」という名の作品で、滋賀県長浜市の清水節堂という日本画家が、遠近法を取り入れて描いたものです。
髪の長い?せこけた老婆のような幽霊が目をむいている様子が描かれていて、見た人誰しもが恐怖におののくといっても過言ではないような画です。
浮き出たあばら骨のリアルさ、不気味で恐ろしい表情等、怖い要素がいろいろあります。
しかし、この幽霊画の一番の恐怖ポイントは他にあります。
そのポイントとは、幽霊画を見た人が、「幽霊が掛け軸から抜け出して、自分の方に向かってくる」という恐ろしい感覚を抱くことです。
何かを訴えかけるような恐怖の表情は、一度見たら忘れられないくらいとてもインパクトがあります。
そのような幽霊が自身の方に向かってきそうなのですから、震え上がること間違いありません。
最後に
江戸時代から様々な画家達が描き出した幽霊画ですが、この「絹本淡彩幽霊図」はその中でも群を抜いた不気味さがあります。
かつて所有者に不幸が降りかかったというこの幽霊画は、寺に預けられ供養されることで魂が静まったのでしょう。
骨董品店のようなところに出回らずに、最初に寺でしっかりと供養されてよかったと思います。
「絹本淡彩幽霊図」は幽霊画の傑作の一つといわれています。
描かれた幽霊は、もしかすると清水節堂がかつて実際に遭遇した幽霊なのかもしれません。
人は、念のこもったものに近づくと、ぞっとするような感覚を覚えるといいます。
古美術品等を求めようとする際は、感覚を研ぎ澄ませてものに接し、購入するかどうかをよく検討するべきだと考えます。
※画像はイメージです。
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