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零戦が名機となり得た本当の理由

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零戦には超高性能だからこその致命的欠点があった。

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零戦のエース・坂井三郎の評価

零戦搭乗員・坂井三郎は日中と太平洋の両戦争を通して活躍し、海軍公式撃墜記録28機、未確認では60機以上とされる名パイロットです。

ガナルカナル島攻防戦で、右目失明・脳まで届く頭部裂傷・左半身麻痺の重症を負い、出血多量のために朦朧とした意識で飛行を続けて生還し、さらには体が回復すると隻眼のまま前線に復帰して零戦の好敵手F6Fを相手にしながら、終戦まで生き残ったという経歴はその空技の優秀さを物語っています。

その坂井が零戦について次の様に語っています。
「どこまでも滑らかで崩れない操縦手応えと、いかなる速度と仰角においてもピシッときまる天下一の操舵応答、 つまり1の操舵(操縦桿の動きと力)に対しては1の機体の運動、2の操舵に対しては2の運動というふうに、 パイロットの動かす通りに動いてくれた(中略)から、零戦に終始絶対の信頼と愛着をもってきた。」

速さ故の欠陥

零戦の試作機一号機での飛行試験を行った飛行士たちは、高速飛行時の操縦桿操作がかなり重くなって、機体の動きが過敏になり、操縦性における低速と高速でのこの差異の大きさは、戦闘機としては落第であると報告しています。

零戦の最高速度533km/hは、以前の主力艦上戦闘機である九六式艦戦の最高速度440km/を大きく上回っています。
速度が上ると昇降舵に加わる風圧が大きくなります。
そのせいで操縦桿が重くなり、昇降舵の効きが大きくなるので機体の動きが過敏になるのです。

坂井の言葉を借りれば、高速では、1の操舵で例えば1.3の機体運動になってしまうのです。
これを制御するためには、低速では搭乗員が操縦桿を大きく動かし、高速では重い操縦桿の操作量を微妙に減じて操作しなければならず、目まぐるしく速度が変化する空戦時にはそのような操作は不可能で、戦闘機としては落第と判定されました。

操縦系統剛性の計画的引き下げ

設計者の堀越が思い付いたこの問題の解決案は航空機設計の常識を破るものでした。
操縦桿を動かした分だけ出来るだけ正確に昇降舵や補助翼が動く事が、飛行機の運動をコントロールする上で必要で、そのために操縦系の各部品の剛性を厳しく規定して、たわみや歪みを極力少なくするのは航空機設計の常識でした。

堀越はこの常識を破って剛性を引き下げました。
つまり舵に加わる風圧が増加すると操縦桿迄の各部品が伸びたり歪んだりして、自動的に舵角が減じて機体動作の過反応を抑えるです。

コロンブスの卵的かつ逆転の発想といえるこの技術は、戦後、英国ホーカー社の設計主任に驚嘆されたものです。
この様な世界的先端技術が高次元でしかも実にバランス良く組み合わされて生まれたのが、超高性能と素直な扱い易さが共存する、名機零戦でした。

歴史大好きじいさんです。
良い道具とは、使い手が思いのままに使える道具のことです。

参考:冷戦の遺産 堀越二郎 著

※画像はイメージです。

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