前世診断は、人気の高いオカルトコンテンツである。
茶飲み話にする場合もあれば、占いの1つとして自分の今後の指針にしたり、特異な才能を持つ有名人の解釈に利用される場合もある。
前世という概念は、仏教の輪廻転生などが元になっていると考えられるが、だとすると「全く同じ相手が前世」という2人が出て来た時、どう解釈すべきなのだろうか。
前世と科学
前世診断は、そういうダブりを防ぐため、曖昧な表現が使われている、と思うかも知れない。
だが、古今東西「釈迦の生まれ変わり」「キリストの生まれ変わり」という人が同時代に複数人発生する事は、決して珍しくない。
まず、科学の部分から見ていこう。
生き物は、いわゆる「親」から細胞分裂によって発生する。
その個体が生まれる前の「生」を前世とするなら、前世は「親」に他ならない。
もっと原初の生命のスープから発生した最初の細胞に関しては、それ以前に細胞がなく生命は存在しなかったから「前世」を持たない。
前世とは魂の話だ、というのであれば、科学は魂の実在を立証していない。
実在しないものに前も後もない。
心理面でいうと、前世は未知への恐怖の解消のため、と考えられる。
我々はどこから来てどこへ行くのか、という問いを「前世」「来世」はインスタントに片付けるものだ。
現代を生きる人にとって、過去の人間に対する知識は限られる。人数そのものも現代の方が多い。
前世に個人を挙げるなら、有名人が選ばれるのは当然で、これが他人とかち合い「釈迦の生まれ変わり」の主張者が複数出るのも当たり前だ。
オカルト文脈の前世
では、前世が実在するオカルト世界で考えてみよう。
世界観としては、やはり仏教が分かりやすい。
輪廻転生によって人の魂はいくつもの一生を繰り返す。
キリストだろうがアドルフ・ヒットラーだろうが豊臣秀吉だろうが、魂が宿っていた。
尚、釈迦などの成仏した者は、輪廻転生から解脱しているので、輪廻によって生まれ変わる事はないが、化身という形で人の姿を取る事は珍しくない。ひとまずこれも、前世のようなものとしておく。
前世が誰であったにせよ、1人の肉体に宿る魂は1つの筈だ。
ならば、同時発生した場合は、やはり誰かを嘘つきにしないと話が合わない。と思いきや、これは必ずしも正しくない。
我々人間の視座においては、その考えは正しいが、仏視点ではどうだろうか。
仏の加護というのは、同時多発的だ。
東京の観音様の加護がある時には、ニューヨークでは加護が得られない、という事はない。
パワーが大きすぎて地球を覆うという可能性はあるが、仏もアブラハムの神と同様のある種の「全知全能」であるとすれば、もう少しスマートな解決法が出て来る。
つまり、仏にとって、時間は絶対ではない、という事である。
次元を線、面、立体と定義する時、四次元方向は「時間」とする説があるが、仏らがこの高次元の存在だとすれば、時間を俯瞰出来る。
魂は1つで十分

3次元に生きる我々が、2次元空間を束ねた「本」の如きものをどのようにも観察できるように、高次元の仏は我らの世界を外から自由に観察できる。
人が本のページを破って他のページに挟めるように、仏は特定の魂を時空と関係無く動かせる。
こう考えた時、1つの魂の肉体が滅んだ時、ひょいと前の時間に戻して別の肉体に転生させる事ができる。
この魂が、前または未来に織田信長であるなら、その人は織田信長と同じ魂を持つ者、という事になる。その人が死んだ後、前の時間の別の肉体に魂を移す事もできる。
前世を観察出来る能力がある人は、それを観察して「あなたの前世は織田信長です」とそれぞれの人に告げる事になる。
この考えを更に進めると、魂の数問題も解決できる。
原初、地球に生物はなく、魂の器も存在しなかった。だが、その後生物が生まれ、そして増えた。
ここに入っている筈の魂は、一体どこから調達されたのか。
2つに分裂したのか、それとも他からまた湧いてきたのか。
だが、神が時間に囚われないのであれば、魂はたった1つで良い。
神が1つでありながら遍く存在できるのであれば、魂もまた同様にできる。
こう考えた時、前世は何であると語っても間違いはなくなる。
歴史上の人物でも良いし、現在生きている人間や今後生まれる自分の子供でも、何もおかしくはないのだ。
全全部前世
あなたが今の自分に自信がなく「自分が何か凄い人の生まれ変わりなら」思う時、この考えを採用してみるのも良いだろう。
前世は傾国の美形、国士無双の英雄、名は無くとも誠実さで愛された者、野に咲く花、何でも良い。生物は人の想像を超える数存在する、何かしら当てはまるのだ。
妙にしっくりくる歴史上の人物があれば、ひょっとするとその者こそが、あなたと因果律的に近い魂なのかも知れない。
先に同じ人の生まれ変わりを主張している者がいたとしても、ただ受け容れ堂々としていれば良い。オカルトは、心を安らかに保つために存在するのだ。
※画像はイメージです。


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