名作、デッキ構築型ゲーム『Slay The Spire』の続編が2026年の3月にリリースされた。
様々な変更点の中に、リッチのキャラクタ追加があった。
モンスターの中で、動く剣を持ったガイコツ、スケルトン・ウォリアーは分かりやすい。
だが、リッチになってしまうと、少々分かり難く、あまりハッキリ掴めていないという人も多いのではなかろうか。
将来、あなたにスケルトンウォリアーとリッチ、どちらになるかという選択肢を提示された時、どちらを選ぶべきだろうか?
リッチになる時、どんな注意点があるだろうか。
リッチとは
一般的なリッチについて、イメージを固めておこう。
義務教育段階で学ぶリッチの外見的イメージとしては
- ガイコツ
- ローブと杖
- 魔法を使える
この辺だろう。
語源の「lich」自体は、「死体」を指すが、上記の魔法使いイメージを確定させたのは、RPG「ドラゴンズ&ダンジョンズ」の追加ルール「グレイホーク」であるとされる。
リッチがローブ姿を取る理由は、彼または彼女が魔法を得意とする人物であった事による。
死を克服する手段として、自分に魔法をかけ、不死のモンスターに変えたのである。
骨の姿であるのは、その魔法の能力が限定的であり、肉の部分まで永遠に保つ事は出来なかった、という事になる。
オカルト領域においても、人間の技術では、本来の意味の「命」を伸ばしたり作ったり出来ない、という前提が付く事は多い。
これは、命の創造が神の御業であり、人間がコントロール出来ないというキリスト教的発想と言える。
東洋の場合、神が唯一とは限らないため、割とカジュアルに命が生み出される事がある。
付喪神などの発想は、あらゆるものに神が宿るというものだが、裏を返せばあらゆるものが魂を持つ、命の延長線上にあるという解釈になる。
リッチと一般スケルトン(スケルトン・ウォリアー)の差は、それを操る術を使う側と使われる側と考えるべきだ。
一般スケルトンは、単なる操り人形であり、リッチは自分の意思なり魂なりを残す手段が加わっている。
逆に言えば、リッチになる術を使えば、他人をリッチ相当の「魂あるスケルトン」にする事も可能だろう。
だとすると、誰かの気まぐれで「魂あるスケルトン」になった者が、後から魔法などを学んでリッチを再生産する可能性もあり得る。
リッチになる術

リッチになるための術の構成は、比較的単純なものと考えられる。
魔法などのオカルトが存在する世界においては、思考、すなわち精神が物理的な干渉力を持つのが道理だ。
従って、自分という存在を残したいという強い思念は、魂を滅びや転生に進ませず、現世に留まらせる機能を持ち得る。
この時、肉体と離れてしまえば単なる浮遊霊になってしまうから、肉体との接点を予め構築しておく事で体を持つ亡者になれる。
肉体的な機能との間に齟齬があるか、もしくは魂のみが永遠のため、肉や内臓はやがて崩壊していく。
結果として残るのが骨だけの姿のリッチとなる。
骨だけで動けるなら、それ以外の素材でも問題ない可能性が高い。
何しろ骨は筋肉がなければ、人体の形状すら維持できない。魔力などが関節に作用していると考えれば、それは空っぽの鎧や人形でも変わらない筈だ。
永遠の隣人と、どう生きるか
1つ疑問になるのは、創作におけるリッチの(部下はともかく)単体で登場する描写の多さだ。
永遠に生きるためには、独りは退屈すぎる。
家族や友人も同じようにリッチにして、賑やかに余生を過ごしたくなるのが道理だ。
術の難しさや適性もあろうが、試行回数が多ければ、成功例もある筈だ。
リッチ家族やリッチ集落は、何故出て来ないのか。
リッチが複数で過ごす事に、何か問題でもあるのだろうか。
仮説の1つは、リッチの命が永遠に近いものであるから、というものだ。
あなたの家族や友人のうち、最も親しいのは誰だろうか。その相手と、いったいいつまで一緒にいたいと感じるだろうか。どこかで、喧嘩したり疎遠になったりという事はないだろうか。
人と人が一緒にいる時、どこかでストレスが生じる。永遠の命であるなら、そのストレスも永遠だ。
この蓄積を恐れるため、リッチ達は一緒に過ごさず、たまにしか会わないのではなかろうか。
仏教では輪廻転生を抜ける解脱のため、執着を捨てる事も説く。
これは、世の中を良くする云々の方便を除けば、そういった人格が完全な者でなければ、永遠に続く仏の世界で、共に過ごせないからではないか。
封神演義において、永遠の命を持つ仙人達は「刹劫」という殺人衝動が定期的に生じるとされる。
これを、仙人同士で殺し合ったところで、恨みが残り、ストレスが溜まるばかりだ。
故に、人間の戦争に手を貸し、代理戦争で楽しむ。
永遠の命には、そういったストレスコントロールが絶対的に必要になる。
リッチ達は、そのようなストレスに耐えるため、独りの生活を選んだのではなかろうか。
スープの温度指標
あなたが、何らかの魔術的素養を持ち、リッチになるための術に辿り付いた時、愛する人と一緒になろうとするのは良い。
それはとても素晴らしい事だ。
だが、距離はとった方が良い。スープの冷めない距離より少し遠いぐらい。
たまに会うととても嬉しく感じられる距離。
それが長く生きるのに大事な事だろう。
※画像はイメージです。


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