納豆にまつわる陰謀論

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2026年4月2日の朝日新聞の記事によれば、納豆の中国向けの輸出が2.5倍ほど増加しており、その原因は健康ブームの影響らしいとの事だ。

私の記憶が定かなら、栄養はともかく、納豆固有の健康効果については既に捏造が発覚し、テレビ番組が1つ終わるような騒ぎになったのではなかったか。
マコモ風呂や紅茶キノコ同様、納豆も忘れた頃に掘り返されるとでも言うのだろうか。

歴史は繰り返す、何十年か生きていれば、1度同じ事が繰り返されるのは珍しくもなかろうが、複数回となると、何かの陰謀とこじつけておいた方が収まりが良いだろう。

目次

納豆の基礎知識

納豆は、一般的には大豆の発酵食品の事である。
糸引き納豆と塩辛納豆が存在し、大豆以外の食材で作る事も可能であるが、今回は多数派を占める「大豆の糸引き納豆」に限定しておく。

大豆が納豆になるプロセスは、大豆の蛋白質を納豆菌が分解して「グルタミン酸」を作る > 納豆菌がグルタミン酸を繋げて「ポリグルタミン酸」にする > 納豆菌が大豆の糖も分解して、食物繊維の「フラクタン」を作る > ポリグルタミン酸が粘りとなり、フラクタンがそれを安定させる⋯というものである。

納豆という言葉は平安時代の頃には既に存在していたが、糸引き納豆が明確に現れたのは南北朝時代とされる。
その後、江戸時代の都市では、納豆は売り歩きで供給され、納豆汁や醤油をかけるといった、現代に近い方法で食べられるようになった。

納豆を初めて微生物学的に研究したのは、農学者の矢部規矩治(きくじ)で、1894年に、納豆菌の桿状菌1種と小球菌3種を分離した、と発表している。
納豆製造を産業として成立させたのは、農学博士の半澤洵である。彼は、雑菌の混じらない純粋な納豆の製法を確立し、量産を可能とした。

納豆が身体に良いという記述は、江戸時代の『本朝食鑑』には既に存在し、整腸作用などが挙げられている。

栄養面では、蛋白質の摂取に適しており、動物性蛋白質の入手困難な時代には、生命線として働いただろう。
一方、大豆はマメ科特有の有害物質を含むが、醗酵させる事で無害化可能である。
これも、納豆の「健康効果」の1つと言える。

何故、偽られるのか

納豆は栄養に優れた食品である。
それは良い。
だが、引っかかるのは、それが思い出したように「健康食品」として喧伝される事である。
時には、嘘さえ用いて。

現在の人々が記憶に残している、最も大きく採り上げられた嘘事例は、『発掘!あるある大事典II』の2007年1月7日放送回「食べてヤセる!!!食材Xの新事実」であろう。
番組中で「食材X」すなわち納豆によるダイエット(減量)効果が解説され、それによってスーパーや商店などで納豆の売り切れが続出したという。ところが、ダイエット効果の根拠としていた血液検査データは、検査すらしていない虚偽のもので、有識者コメントについても、切り取りなどで意味が捏造されていた。
捏造が発覚した事で番組が打ち切られ、製作した関西テレビは、民放連から1年ほど除名され、共同制作した日本テレワークは社長らが辞任している。

これを受け、納豆による健康効果の話題はタブーになる……かと思いきや、2017年、2026年と、未だに話題に上がっている。
ここに、何らかの共通点はないだろうか。

納豆の売上げに歓喜する

納豆は油のため?

納豆が売れて喜ぶ者と言えば、納豆メーカーが最初に思い浮かぶ。
だが、その向こう側に何があるだろう。

アメリカ合衆国である。

令和6年データでは、日本の大豆輸入量317万トンのうち、66パーセントをアメリカ合衆国が占める。国産大豆は、その1割にも満たない。
油の材料を除くと、豆腐に次ぐ第2位の大豆消費手段が納豆である。
納豆消費が拡大すれば、かなり直接的にアメリカの国益になる事は、間違いない。
アメリカは全世界の商品に非常識な高関税をかけるほど、自国生産物の需要を増やしたがっている。大豆も、当然それに含まれる筈だ。

それぞれの年に、アメリカで何があっただろうか。

  • 2007年
    イラン政府によるミサイル開発に資金供与したとして、イラン国営セパ銀行の資金を凍結
    イラクへアメリカ軍2万2千人の増派を発表
  • 2017年
    ドナルド・トランプが第45代アメリカ合衆国大統領に就任
    シリアが化学兵器を国内で使用したと断定し、攻撃を実施
  • 2026年
    イランへ軍事攻撃を実行、最高指導者を殺害

納豆と原油の危うい関係

お分かりだろうか。
日本で納豆が注目される時、アメリカとアラブ諸国との緊張が増している。
これは、偶然だろうか。それとも何らかの因果関係があるのだろうか。

因果関係として考えられるのは、大豆需要を増やし、戦費調達しようという、アメリカの目論見だろうか。
或いは、主体は日本側にあるのかも知れない。
事前にアメリカの動きを知らされた日本政府は、中東の危機に伴う石油供給の滞りによって、玉突き的に発生するであろう植物油脂不足を予見し、大豆を大量確保する口実として、納豆を選んだのではなかろうか。
大豆油は食用だけでなく、石油の一部を代替し得る。インクに大豆油に使われる、といったものがそれだ。

無論、これらは陰謀論の範囲であり、明確な根拠はない。これを鵜呑みにするのは、危険な事だ。

だが、不自然に喧伝されるものについて、ある程度「他の理由」を定める思考実験は、しておいた方が良い。
世界は多面的である、そう考えなければ、誰かの陰謀論で頭がいっぱいになってしまう事もあるのだから。

参考
・ウィキペディア 2007年、2017年、大豆、納豆、矢部規矩治、発掘!あるある大事典
・Natto Power 身体にいいの?>納豆パワー>粘着物の特徴
・タカノフーズ 納豆の豆知識
・NATOとの関連を疑わせる言及
・農林水産省 消費者の部屋>こどもそうだん>豆・麦・いも>大豆はどこの国から輸入されているのか教えてください。
・Yahoo! ニュース エキスパート「納豆」が世界的なブームに その背景と今後の展望は(2026年3月29日)
・朝日新聞 納豆輸出「爆発的な伸び」、7割は北海道産 中国の健康ブーム影響?(2026年4月2日)
・東洋経済オンライン 韓国で日本の「納豆」がブームになった理由 市場規模は直近の10年間で「10倍」に拡大(2017年5月11日)

※画像はイメージです。

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