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Aちゃんと私の思い出

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私が中学生だった頃、学校の遠足でバスに乗って、たぶん自然公園のような行楽地へ向かいました。
どこへいったのかは思い出せませんが、その日の天気がとても良く青空が広がっていたことだけ、はっきりと覚えています。

バスの中は賑やかで、皆がそれぞれ友達と楽しそうにおしゃべりを楽しんでいました。
私は隣の席になったAちゃんという女の子、普段は違うグループなので特別親しいわけではありませんが、自然に会話が弾んで楽しい時間を過ごしていたのでした。

目次

霊感があるAちゃん

バスがなんの変哲もない山道を通っている時でした。
Aちゃんは、ふいに道の脇の林を指差し、「あそこにいるよ、こっちを見てる。」と言うのです。
私はてっきり動物でも見つけたのかなと思って、指差す方を見ると何もありません。
「なにがいた?」のと聞くと、Aちゃんは「私、霊感あるんだ」と言い、これまでに見た幽霊の話を初めました。

怖い話は好きでないので適当に相槌を打ちながら聞きながら、他の話題を変えようとするのですが、ガン無視して話を続けます。なんかトンデモナイ子の隣になってしまったと憂鬱な気分を通り越し、もういい加減にしろと怒ろうかと思った時。

バスが突然に急停車しました。

突然のアクシデント

車内がざわつき、何が起きたのかとみんなが騒ぎ始めると、先生が立ちあがって、アナウンスしました。

「バスが故障したので、みんな他のクラスのバスに乗ってください!」

予想外の事態に、バスの中は大混乱で、荷物をまとめて降車の準備をしていると、Aちゃんが私にだけ聞こえる小さな声で、こう呟いてきます。

「ごめん、私のせいだ。ごめんね。」

私は思わずAちゃんの顔を見ると、彼女は真剣な表情で、申し訳なさそうに目を伏せていました。
ぶっちゃけウンザリしていたので、「なにいってんだよ、オマエ?」と罵ったのです。
その後、私はAちゃんとは別々になり、目的地に無事到着してからも関わる事なく、楽しい一日をすごしました。

失われた記憶

年月が経ち、大人になった今でも、何人かの中学時代からの友人と遊ぶことがあります。
ある時、プチ同窓会みたいになって、居酒屋で飲み会をしていた時でした。

何気なく、あの遠足を思い出し、酒のツマミになるだろうと「バスが故障して大変だったよね。」と話をふると・・・。

「え? そんなことあった?」

友人たちは遠足に行った事は覚えていても、バスが故障した事は誰一人として覚えていません。
皆、半分酔っていたので、私をからかっているのだと思い、だったら自称霊感があるAちゃんって覚えてる?と聞いたのですが、誰も知らない。
むしろ、「そんな子いたっけ?」と口を揃えて言います。

確かに私も、Aちゃんは隣に座って、話をしたのを覚えていますが、でもよく考えてみると、彼女がどのグループにいたのか、どんな顔をしていたのか、まったく思い出せない。

まるで、最初から存在しなかったかのように。

Aちゃんは誰?

それからというもの、Aちゃんの存在が気になって仕方がなくなり、中学校の卒業アルバムを引っ張り出してみました。すると、集合写真の中にたしかにAちゃんの姿がありました。
Aちゃんが実在したことは確定しました。なのに、なぜみんなは「知らない」と言ったのでしょうか?

どうしても彼女のことを知りたくなり、アルバムに記載されていた連絡先に電話をかけてみました。しかし、「現在使われておりません」というアナウンスが流れるばかり。
そこで、適当な理由を考えて当時の担任の先生に連絡し、それとなくAちゃんについて尋ねてみました。先生は「たしかにAちゃんはいた」と言うものの、あまり印象には残っていない様子。

試しに遠足の話を振ってみると、「バスが故障したことはなかった」とのこと。それどころか、私が次々と奇妙な質問をするせいか、先生はだんだん警戒しているようです。
これ以上詮索して、私が変人あつかいされるのは不本意なので、この話はここまでにしました。

思い返せば、彼女と話したこと、バスの故障、私の記憶の中にしか存在していません。
誰にも証明できない出来事。単なる妄想だったのでしょうか?

ただ一つ確かなのは、あの記憶が私の中にだけ、今も鮮明に残り続けているということです。

※画像はイメージです。

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