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AH-64 アパッチ戦闘ヘリ

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AH-64、通称アパッチと言えばアメリカ軍を代表する攻撃型の回転翼機として、ミリタリー好きであればそのシャープなラインの機体に各種の用途の様々な兵装を施された雄姿を目に浮かべるだろう。
攻撃型の回転翼機の代名詞的存在とも言うべきが、このAH-64アパッチだが、同分野の先駆けとなったのは1960年代に現在のベル・エアクラフト社が開発したAH-1コブラが最初であり、日本でも導入されていた。

AH-1コブラは前に射撃担当、後ろに操縦担当者が登場する前後一列のレイアウトを採用した機体で、この形状は後のAH-64アパッチを始め数多くの攻撃型回転翼機のスタンダードとして確立される事となる。
このAH-1コブラの後を引き継ぎ、2022年の現在に至るまっで各種の派生型も含め総数で1,100以上が生産され運用される世界的なベストセラー回転翼機となったのが、今回紹介するAH-64アパッチである。

目次

AH-64アパッチの開発

AH-64アパッチはAH-1コブラを代替する攻撃型の回転翼機として1976年にアメリカ陸軍に採用されたが、開発を担当したのはヒューズ・ヘリコプター社で、同社はマクドネル・ダグラス社を経て今はボーイング社となっている。
1960年代のベトナム戦争においてAH-1コブラは多用されたが、1970年代以後はヨーロッパにおいて旧ソ連圏のワルシャワ機構軍がNATOを上回る機甲戦力の数を実現したため、その対抗策が模索さる事となった。

その対抗策の一助として開発されたものがAH-64アパッチであり、兵装には30mmのM230機関砲やハイドラ70ロケット弾、AGM-114ヘルファイア空対地ミサイルが採用され、対戦車向けの攻撃型回転翼機に仕上げられる。
殊にAGM-114ヘルファイア空対地ミサイルを効果的に運用する為、AH-64アパッチはレーダ・センサ類やGPS誘導装置等のアビオニクスに優れ、低空を高機動で飛行できる対戦車キラーの回転翼機となった。
こうして完成したAH-64アパッチは、1984年からアメリカ陸軍への量産型の実戦配備が開始されて、数量的には初期型のA形からD型までで全743機が調達されている。

AH-64アパッチの構造や主兵装

AH-64アパッチは、主翼である上部ローター及び後の尾部ローター共に4枚羽構造を採用しており、殊に前者は被弾を考慮しステンレス・スチールと複合素材で強度を持たせた製造としている点が特筆される。
機体そものものも機動性を確保しつつ軽量化をも図る目的で、後席の操縦担当の周囲はボロン・カーバイド製の防弾装甲が施され、また前後の座席共に墜落時の衝撃に備えたセラミック製装甲も備わっている。

機関部や変速機等の機体の重要部分にも、軽量で且つ防弾性能に優れたアルミ合金製の装甲がなされており、これがAH-64アパッチをして時に「空飛ぶ戦車」と形容される事の大きな要因ともいって良いだろう。
AH-64アパッチは、昼夜を問わぬ任務や荒天時でも安定した使用を実現する事を目指して、照準装置や暗視センサを複数組み合わせた火器管制装置を搭載しており、これらをヘルメット一体型のシステムで運用する。

固定武装としてAH-64アパッチは30mm口径ののM230機関砲を搭載しているが、これは所謂バルカン砲のような多銃身ではなく、通常の単銃身で最大12,000発の銃弾を携行する事が可能とされている。
AH-64アパッチは機体の重心を考慮された片側2ケ所づつの合計4ケ所の兵装用パイロンを備え、各々ひとつにハイドラ70ロケット弾なら19発1組のポッド、AGM-114ヘルファイア空対地ミサイルなら4発1組を懸架出来る。
またオプション設定として複数の空対空ミサイルも搭載する事が可能な為、これを行えば対地上目標のみならず敵の航空機を攻撃する用途にもAH-64アパッチは対処可能となっている。

大幅に性能を向上させたモデルAH-64D

AH-64アパッチは初期型であるA型の後、B型、C型が企画されたが製造までは至らず、D型にしてようやくアパッチ・ロングボウとして大幅に性能を向上させた進化系がリリースされ、製造される事となった。

A型と比較してD型では、グラスコクピットの採用、機関部の換装、アビオニクス類の強化、そして愛称の追加に繋がった。AN/APG-78ロングボウ・ミリ波レーダーの追加が主要な変更箇所となっている。
AN/APG-78ロングボウ・ミリ波レーダーを追加した事によりAH-64Dアパッチ・ロングボウは、複数の目標への攻撃や脅威度の評価機能を得るなど、攻撃機能の面で大きく進化したと言う事が出来る。
こうした能力の向上によってアメリカ軍によるテストでは、D型は従来のA型に比して生存性能で7倍、攻撃力で4倍にも相当するとされた為、乗数では何と28倍に達するとまでの最大限の評価を与えられた。

このD型の後もH型アパッチ・ガーディアンとして、更なる機関部の換装やアビオニクスの性能向上、防弾性能の向上を果たしたモデルに進化したが、これがAH-64としての事実上の最終モデルとなっている。
D型アパッチ・ロングボウは2005年から日本の陸上自衛隊でも採用しているものの、当初62機だった調達数は13機で打ち切られ、1機あたり52億円と高価だった事やこの時点で既に有用性に疑義の声も出ていた。

そうした中でライセンス生産を担った富士重工業社は急遽の調達打ち切りによって損害が生じたと訴訟に及び、2015年には訴えが認められ国に支払いが命じされるなど、一連の不祥事も生じている。

AH-64アパッチを代替アメリカのFARA計画

これまで見てきたようにAH-64アパッチは、1976年にアメリカ陸軍で採用されて以来、今日2022年においても事実上の最終型であるH型が運用され凡そ半世紀が経過しようとている。
しかし今後は2018年から開始されたFARA(将来型攻撃偵察機)計画によって、アメリカ陸軍のにおいてはそこで選定された機体によってAH-64アパッチは代替されて行く方向であり、程なく役割を終えるだろう。

アメリカ陸軍のFARA(将来型攻撃偵察機)計画とは、統合用途・将来型垂直離着陸機計画の一環であり、既に先行して2014年に退役したベル・ヘリコプター社製の回転翼機・OH-58カイオワの後継機を選定するものと位置づけられる。
OH-58カイオワはAH-64アパッチに先んじて、1969年にアメリカ陸軍に納入された回転翼機だが、元は主として観測任務用に用いられ、後に各種兵装を搭載する事で戦闘任務にも従事するようになった機体である。

このFARA(将来型攻撃偵察機)計画においては、ベル・ヘリコプター社とシコルスキー・エアクラフト社の2社が選考に残り、2023年からの試作機の飛行を経て2028年に正式な後継機が決定される予定である。

攻撃型の回転翼機の今後

アメリカ陸軍がFARA(将来型攻撃偵察機)計画を進めているように、回転翼機が軍に不要な存在となでの極論は当てはまらないものの、少なくとも攻撃型の機体は今後積極的に開発される事はなさそうだ。
アメリカのAH-64アパッチは、特にD型アパッチ・ロングボウ以降のモデルでは、強力な兵装による攻撃力で対戦車戦闘に効力を発揮する事が開発時には期待されたが、兵器の進化はこれを超えて行った。

具体的にAH-64アパッチは1991年の湾岸戦争に投入され、イラク軍側のレーダー設備や各種の軍事拠点、そして戦車等を多数破壊する戦果を挙げたものの、砂漠の厳しい環境化では7割近い機体に故障が生じた。
続く2003年からのイラク戦争でもAH-64アパッチは湾岸戦争時と同様に多数のイラク軍戦車等を破壊する戦果は挙げつつも、撃墜等の被害も発生、機体の単価を考慮すれば費用対効果でマイナスになった感は否めない。

殊に敵の正規軍のみならず、非正規軍が相手でっても歩兵携帯型の対空ロケット弾に撃墜されるケーズが発生し、この傾向を回避する術がない為、今後の戦場では無人航空機等にその座を譲るものと思われる。

featured image:U.S. Army, Public domain, via Wikimedia Commons

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