『天使の輪』光輪の起源と変容探訪

当サイトは「Googleアドセンス」や「アフィリエイトプログラム」に参加しており広告表示を含んでいます。

創作作品の中にたびたび登場する「生者以外の存在の頭上に光る輪が浮いている」という描写。
俗に『天使の輪』と呼ばれるそれの起源や「なぜ輪が存在するのか」を調べると仮説より少しずれた興味深い観点に着地したので考察とともにまとめていく。

目次

天使とは?

そもそも天使の輪を携える『天使』とはどのような存在かというと、キリスト教・イスラム教・ユダヤ教の中で語られる「神の使い」「神託を届ける存在」ひいては「神と信者を繋ぐ懸け橋的役割を持つ存在」である。そういわれると、各宗教の絵画には神や天使の頭上に光の輪の描写がある物がいくつかある。

天使の輪はそれでも意味は通じるのだが宗教美術の上では『光輪』という。英語だとhalo(ハロ、ヘイロー)となりこの呼び名もまた創作作品で見かけることがある。
光輪は神や天使といった存在が持つ「神聖な力やオーラ、存在感や輝き」を表現しているとされ、仏教の絵画や像に見られる『光背(こうはい)』も分類される。輪であるか円盤型であるか、構成する物質は光か炎かなど、姿形にバリエーションがある。

光輪の起源と変容

前述であるからこそ、光輪とは「各宗教の聖典に光輪の描写があり、それを元に宗教美術の中でも描写が行われ、現代の創作作品に登場する天使にも転じて使用されている」と仮説を立てるに至ったのだが、調べていくと実際はもう少し違う思惑が混じっている事がわかる。

全宗教を記すと紙面が足りないので代表してキリスト教を挙げて見ていく。キリスト教の宗教画に光輪が登場したのは4世紀頃、キリスト教美術確立初期であるが、実は聖書の中には明確な光輪の描写は存在しない。
宗教画とは信仰神や聖なる存在の偉業・逸話のワンシーンを描いたものであり、一枚絵の中にはキリスト、天使や聖人などの聖なる存在、キリストを崇めて集う信者の様子が描かれる。そしてキリストの頭上には十字架を携えた光輪が、天使や信者など他の存在にはそれより簡素なデザインの光輪が描かれた。

これは一枚絵に登場する人物たちの中で最も神聖なキリストがどれか一目でわかるように、いわゆる描き分けを目的で描かれたという。

つまり光輪は「聖書にある描写を忠実に美術に落とし込んだもの」ではなく
「キリストの持つ神聖な輝きや尊い力を表現するにはどうしたらよいかを試行錯誤した末に編み出された宗教美術上の表現技法」
「宗教画の中で主神を最も際立たせる、他の信者たちとの差別化を図った記号的描写」
という意味を含んでいるといえる。

記号、という意味を意識すると、のちに訪れる『光輪の描写が減った時期』というのが興味深く見えてくる。これは決して大衆の信仰心が薄れたのではない。キリスト教美術の初期の光輪は平面的というか、登場人物の顔の向きに関わらず頭の後ろを囲む円状に描かれていた。時代が流れ写実主義(現実の光景を誇張や脚色を加えず見たまま描写する芸術様式)が活発になると光輪の表現も変化が生じ始める。
平面の円盤ではなく頭上に浮かぶ立体的な光の輪の描写、そして窓から差し込む自然の光が頭上できらめくような構図…といった具合に、より写実的になっていった。

これは「聖書にないフィクションの光の輪の描写ではない、現実に存在する要素でキリストや聖なる存在の神聖さを表現するための試行錯誤」であり、美術技法の発達に伴った変容であるともいえる。

またこの頃はカトリックがプロテスタントに対抗するために相手派が描かなった光輪を推奨する、という派閥が絡んだ動きもあったようで、これもまたつき詰めると「より洗練した神の解釈の追及」が現れたといえる。

現代と大衆文化上の光輪

当時の光輪の存在意義として「神聖な力の記号化」という意味合いの強さを鑑みれば、現代に広く知られる創作作品中の光輪もその系譜を継いでいる事がわかる。とあるシーンに二人のキャラクターがいたとして、片方の頭上に光の輪が浮いていると「この世のものじゃない存在なのかな」と説明なしに連想できる。

これは光輪⇒天使⇒生者ではない特殊な存在という記号化が世紀単位の時間をかけ宗教の隔てなく大衆に浸透した結果であるといえる。そして写実主義を経て変容したように、今後も何かのきっかけで光輪の描写に変化が現れる可能性があると考えると、ふと頭の隅に留めておき行く末を見守るのも乙かもしれない。
また今回取り上げたキリスト教以外にも光輪の描かれた美術作品は各国・各宗教に存在し、中にはその土地の文化の影響を受けているものも存在する。

もし様々な国の宗教史や美術史などを光輪を通じて深めたいと思ったなら、その知識欲に従いぜひ調べてみるといい。

天使の輪っかは日本刀の切れ味

※画像はイメージです。

面白かった?

平均評価: 0 / 5. 投票数: 0

投票がありませんよ、最初の評価をしてね!

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

思った事を何でも!ネガティブOK!

コメントする

コメントは日本語で入力してください。(スパム対策)

目次