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罰があたる

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私の地元は、人口3000人にも満たない田舎です。
そんな土地にあるY神社では、ちびっこ相撲や綱引き大会といった祭事が行われ、お祭りの際には夜店が立ち並び、普段は静かな町も、この時ばかりは賑やかになります。
しかし田舎の神社によくあるように、Y神社には神職が常駐していませんが、境内は常に整えられ、由緒正しい佇まいを保っています。

地域の人々にも親しまれている神社ですが、昔から「神社で悪さやふざけたことをするとかならず罰があたる」と言い伝えられています。
呪いや怨霊の仕業ではなく、あくまで神の裁きとして下されるため、人の手ではどうすることもできません。
私がそれを思い知らせる事になった話です。

目次

遊びに来た従兄弟

あれは私が小4のとき、夏休みということもあり。同じ年の従兄弟が遊びに来て、二人で毎日、海に行ったり山に行ったりして遊びました。
従兄弟は都会っ子ということもあり、田舎の自然や何もない感じが珍しいようで、私にとってはなんてことない日常ですが、とても楽しそうに過ごしています。

しかし昼間はすることがたくさんあるものの、夜になるとあまりやることがない。
当時はネットが普及しておらず、ゲームも単純なものばかりですぐ飽きてしまうい、退屈な夜を過ごしていました。

そんなとき、高2の兄がY神社へ肝試しに行こうと誘ってきたのです。
従兄弟は乗り気だったが、私は行きたくない。なぜなら地元の人間なら誰もが知ってる言い伝えがあるから。
仮に迷信であろうと、肝試しなんて明らかに罰当たりとわかる行いには素直に賛同することはできません。

私は兄に「罰が当たるからやめようよ」と訴えると、兄は笑いながら「お前ビビってんの?」と煽ります。
従兄弟まで「まじで?そんなの迷信だろ?そんなん信じてるの?」と完全に馬鹿にしている。

私はイラッとしてしまい、「信じてないしビビってない!行こう!!」と、意地になって了承しました。

神社で肝試し

夜の9時ごろ家を出発し、歩いて10分くらいの場所のY神社へ向かいます。
高2の兄と従兄弟がいて、兄の友達と花火をするという言い訳だったので、両親はすんなりと外出を許してくれた。

境内には街灯もあり、さほど暗くないが、夜の神社はそれだけでゾッとする雰囲気を感じます。
神社に着いてすぐ兄が言いました。

「表は別に怖くもないし裏から神社を回ってこよう。俺は右側から回るから、お前ら2人は左側からぐるっと回ってまた、この鳥居の下で落ち合おう」

なんとも面白みのない経路ですが、私達にはそれでも恐怖。おそらく強がっていた従兄弟も同じ気持ちだったようで、顔がひきつってる。
兄の提案に無言でうなずき、私と従兄弟は左側から回る。

表は比較的明るかったが、裏には明かりはほとんどなく、裏にある小さな社に小さな明かりが1つあるだけだった。
私達はちょっとした物音に悲鳴を上げながら、なんとか鳥居までついて一安心。

5分ほどそこで待っていたが、右側から回ってくるはずの兄がやってきません。

ここで待ってても暗くて怖いだけなので、兄が行った右側から回って探した。鳥居まで戻ってきたのだけれど、どこにも兄の姿がない。
それほど広い神社ではないので、そんな事はありえないのです。

特に私は地元の人間だから、「罰があたる」という言葉はいやでも頭によぎります。

兄ちゃん?

不安の中、しばらく2人で待っていると、参道の向こうに人影が見えた。
兄だとわかり私達はホッとした。

「もぉぉ!兄ちゃん!なにしてたの?もう帰ろう」と声をかけて近づいてくのだけれど、どうも様子がおかしい。

参道の小さな明かりに照らされた姿は足しかに兄。
徐々に近づいてきて姿が見えてくると、目は虚ろで焦点があっていなようで、口からはかすかによだれを垂らして何かぶつぶつ言っている。

私達はあまりの恐ろしさに固まった。従兄弟は腰が抜けたようでペタンと座り込んで失禁している。

兄は握られている物を振り上げると、それはギラリと明かりに反射した。
刀だ!と思った、次の瞬間、振り上げてこちらに走り出す。

逃げなければとおもうのだけれども、体が思うように動かない。
従兄弟は四つん這いになって泣きじゃくっている。

「あ・・・ちょ・・・」とパニックになっている私に日本刀を振り上げ、背中を切られた。
ゆっくりと、そう、文字通りとてもゆっくり、背中をなぞるようにゆっくりと切られた。

罰があたる

放心状態の私に、兄は大笑いしながら罵倒した。

「・・・・ぷぷ、あははははは!お前らビビりすぎ!!腰抜けてんの?嘘嘘!この刀はレプリカ!修学旅行で買ったやつ!面白すぎだろ!!」

全ては兄のドッキリで、私達は完全に騙されたのでした。
兄曰く、従兄弟に田舎での怖い思い出を作ってやろう、昼間にレプリカの刀を隠しておき、取り憑かれた感じで出てきて・・・というシナリオだったのです。

私達は怒りもあったが、ホッとしたという気持ちが強く、爆笑する兄を殴りながら帰路に着きます。
従兄弟は半泣きであったが、楽しい思い出だったと気を取り直してすぐに笑顔を取り戻し、むしろ怖いよりもチビッちゃったのをどうしようと心配していました。

それで、めでたしめでたしのはずでした・・・が。

ふと兄の背中に違和感を覚えました。
「あれ?あいつの服、あんな模様あったっけ?」
服の背中に斜めに赤い一筋の線があり、赤い部分がじわじわと広がっていっているような気がしました。

兄に背中を見せてもらうと、服は刃物で切ったようにバックリと切れていて、そこから血がじんわりと滲んできています。
分けが解らず、兄はレプリカの刀をみてみると刀身に血がついているのです。

大急ぎで家に帰ると大騒ぎになり、兄は救急車で運ばれていく程の事になったのでした。
何針は縫うだけで済んだのですが、両親にはこっぴどく怒られ、理由をはなすと・・・。

父は「兄がふざけた事をしたので、神様が兄に罰をあたえた」というのでした。

この話はたちまち周りに広がり、Y神社であそんだり、ふざけたまねをする事が亡くなったのです。
めでたしめでたし。

※画像はイメージです。

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