MENU

かがみの向こう

当サイトは「Googleアドセンス」や「アフィリエイトプログラム」に参加しており広告表示を含んでいます。
  • URLをコピーしました!

私は看護師をしている女性で、この仕事を続けて10年以上になります。
この話は、私がまだ新人看護師だったころ体験した不思議な話です。

目次

エレベーター

当時の私は新人で一番下っ端でした。ある夜勤中、いつもとちがった機材が急遽必要になり、地下の倉庫へ取りに行くことになったのです。
今の私には慣れた光景ですが、あの頃は夜勤に入り始めたばかりで、夜の病院はいつもとは違う不気味な雰囲気が漂っているように思えました。

8階のナースステーションからエレベーターに乗り地下へ、夜間なので途中どこにも止まらず到着。必要なものを手に取り、エレベーターへ駆け込みました。

地下の不気味な雰囲気から一刻も早く離れたいと思い、8階のボタンを押して扉がしまり、私を乗せたエレベーターが上の階へと登ってく途中、2階で止まったのです。
誰かが乗り込んでくるのだろうと思っていたのですが、開いたドアの先には真っ暗な廊下が見えるだけ。
不思議に思いながら「どなたかお乗りになる方はいませんか?」と言ってみても誰もいないので、「閉じるボタン」を押して扉を閉め、エレベーターは再び動き出します。

エレベーターは動き出し、次は3階で停止しました。
新人看護師で病院構造に不慣れな事も会ったので、「もしかしたら、夜間は理由があって各階止まりの仕組みなのかな?」と思いながら、念の為に乗ってくる方を確認してから、エレベーターの扉を閉じたのです。

鏡に映るもの

また次の階でも止まるんだろう・・・そう思っていたのですが、エレベータは止まらずに登っていきます。
なにか背筋に寒気を感じ、振り向いて見えたエレベーターに備えつけられた鏡には、いくつかの階のボタンが光っているではありませんか!

押していないはずの階のボタンが押されているのです。
エレベーターは鏡の中で光っている階で止まり、その度にドアが開く。どの階も誰もいない。ただただ、薄暗い廊下が続いているだけ。

きっと疲れているからだと自分に言い聞かせ、はやく8階に到着しないかと震えながらただただ耐え、6階を過ぎて鏡に映るボタンの7階は光っていない、あともう少しでこの恐怖から開放されると思ったとき。
私の顔の横を手のような何かが伸びてきて、眼の前に見えるエレベーターの7階のボタンに触れると、鏡の中の7階のボタンがふわっと光り、間もなくして7階に到着。

扉が開くと同時に、なにかが私の事を引っ張る、後ろを見ると鏡の中には影のものが無数に見えて、そこから伸びてくる手が私の服や手を掴んでいるのが見えました。
私はエレベーターを飛び出し、廊下で転んでしまいながらも閉じて行くエレベーター扉の奥、鏡の中に見えたのは無数の手招きするような得体のしれない物。

恐怖で体が凍りつきながら、なんとか階段をつかって上の階のナースステーションへ逃げ込んだのでした。

信じてくれない先輩

私は恐怖で震えながら、起きた事を先輩に話しましたが、私の気のせいだと誰も信じてくれません。
それよりも機材はどうしたかと聞かれ、エレベーターのなかに置いてきてしまったのを思い出しました。

取ってこいと言われたのですが、どうしても恐ろしくて一人で行くことはできず、仲の良かった看護師仲間に頼み込んで一緒に行ってもらう事になったのです。

薄暗いエレベーターホール、乗ってきたエレベーターは最上階に留まっているもよう。
友人が「下がる」ボタンを押すとエレベーターはするすると降りてきて、私達のいる階に到着。
扉がゆっくりと開いていき、さっきの事が怖くて友達の後ろに隠れてしまいました。

エレベーターの中には機材がポツンと落ちていて、友人は笑いながら取ってきてくれました。
ふと気がついたのですが、中には鏡なんてないのです。

それからしばらくの間、私はエレベーターを使うのが怖くなりました。
また病院中にこの話が広まり、「ヘタレ」と、しばらくの間、からかわれていました。

今思い返しても

あれから何度もしている夜勤をしていますが、こんな事は一度もありませんでしたが、扉が閉じていく瞬間に見た光景は、私の心に深い恐怖を刻み続けています。

誰もが信じてくれませんが、何か異様なものが、あの夜のエレベーターには確かに存在していたのです。それが何なのかは今も分かりませんが・・・。
病院という生と死が交差する特殊な場所が生み出した、得体の知れない世界の一端なのかもしれません。

※画像はイメージです。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

思った事を何でも!ネガティブOK!

コメントする

コメントは日本語で入力してください。(スパム対策)

目次