子供たちにプレゼントを贈る赤いサンタクロースと一緒に「ブラックサンタ」という、悪い子供にお仕置きをする黒いサンタクロースの存在がヨーロッパでは古くから伝えられていました。
子供たちを袋で叩いたり、臓物をプレゼントしたり、最終的には袋に入れて連れ去っていく。
まるで悪魔や化け物のような存在のブラックサンタですが、実はキリスト教の概念から生まれた存在なのです。
その起源について語りながら、昔の子供たちにとってブラックサンタとはどういう存在だったのか考えていきたいと思います。
「ブラックサンタ」がいることを知っていますか?
サンタクロースといえば「赤い服を着てトナカイに乗り、良い子にプレゼントを配るおじいさん」というのが定番の姿かもしれませんが、ヨーロッパでは古くからブラックサンタの存在が広く知られていました。
ブラックサンタは通常のサンタクロースとは違い、悪い子を懲らしめるために現れる存在です。
ブラックサンタが「悪い子」だった子供たちに贈るのはプレゼントでなく石やじゃがいも、あるいは動物の臓物とされています。他にも鞭で打ったり、灰の入った重い袋で叩き、最終的には「悪い子」たちを袋に入れて連れ去るという最悪なパターンもあります。
ブラックサンタはなぜ?
一体なぜ、子供たちを苦しめるブラックサンタの存在が生まれたのでしょう。
子供たちに悪魔のようなお仕置きをするブラックサンタ、実はキリスト教の聖人であるミラのニコラオスの従者がモデルとされています。
ブラックサンタの正式名称は「クネヒト・ループレヒト」といいます。
聖ニコラオスが良い行いをした子供にはお菓子をプレゼントし、彼に同行するクネヒト・ループレヒトが悪い行いをした子供には石やじゃがいも、動物の臓物をプレゼントするというのが定番の言い伝えです。
ちなみになぜ、クネヒト・ループレヒトがブラックサンタになったかですが、サンタクロースといえば赤い衣装という概念が生まれたのと同時。お仕置きをするサンタは、その対比となるように「黒い衣装を着ている」という概念が生まれた可能性があります。
こうしてヨーロッパの方で、サンタクロースと共にその存在が広まっていったブラックサンタですが、子供たちにお仕置きをする背景には同時のヨーロッパの人々の、子供たちに対する扱いが関係しているのではないかと思いました。
ヨーロッパと子供とキリスト教
聖ニコラオスが生きていたのは、3世紀から4世紀にかけてと伝えられています。
クネヒト・ループレヒトも同時期に生まれた概念であり、少しずつ現在の「ブラックサンタ」としての形になっていったと推測できるでしょう。
昔のヨーロッパはキリスト教の力がとても強く、子供たちもその考えを大人達から厳しく教えられていたのではないでしょうか。それを裏付ける内容として、聖ニコラオスが示す「良い子」とはお祈りができる子供とされており、ちゃんとお祈りができた子供にはお菓子が与えられると伝えられていたらしいです。
反対に、お祈りができない悪い子供はクネヒト・ループレヒトがお仕置きを与えると言われており、ここでいう同時のヨーロッパにおける「良い子」の基準は「信仰心を形で示せるか」ということだったのでしょう。
神に背き、お祈りをできない子供は悪い子供だから、クネヒト・ループレヒトがお仕置きに来る。
こうして怖がらせれば子供たちも信仰心を示すために、お祈りを真面目にするようになり「良い子」の基準からは外れないで育つだろう。
キリスト教が中心となっていた世界での大人たちの思惑が、子供たちの生活に強く影響を及ぼした伝説・・・それが、この聖ニコラオスとクネヒト・ループレヒトという、対となる人物の存在だったのかもしれません。
ブラックサンタは悪魔じゃない
ブラックサンタは子供たちを怖がらせる存在ですが、決して悪魔や化け物ではなく、キリスト教の概念から生まれた存在です。
けれども昔、まだ科学の発達していないキリスト教が生活の中心だったヨーロッパで、「神に背いたらクネヒト・ループレヒト(ブラックサンタ)から厳しいお仕置きを受ける」と言われて育てられた子供たちは、強い恐怖を抱きながら生活していたのではないでしょうか。
そう考えると、子供たちにとってのブラックサンタは、悪魔や化け物以上に恐ろしい存在だったのかもしれません。
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