クリントン・ロードではサファリパークから逃げ出したライオンやカンガルーにまじって、なぜか深夜にブラック・ドッグが現れるらしい。
肝試しに出掛けた人物によると、ブラック・ドッグはウェスト・マイルフォードの森林から外れた未舗装の道に現れたという。
ある証言
夜中に友人たちとクリントン・ロードに肝試しに出掛け、約10マイルの道のりをドライブしたが何も起きない。
これでは面白くないと、車は適当に目をつけた脇道に突入。
「侵入者は射殺する」と書かれた警告が書かれた看板を目にしつつ、車は森の奥深くへ進む。そのとき、車の背後に「なにかの動物」が現れた気配がした。
乗り合わせていた8人全員が振り返ると、そこにはブラック・ドッグがいた。
ちなみにブラック・ドッグはニュージャージーではイギリスの不幸を招く邪悪な怪異ではなく、無害な犬の幽霊らしい。
森の中を逃げているとクリントン・ロードに戻ってしまい、そこで待ち構えていたパトカーと鉢合わせた。
パトカーから降りてきた警官の職質に応じるため車を降りると、背後にはブラック・ドッグの姿はない。
深夜のパトロールする警官とブラック・ドッグ。現実的な存在と極端に現実ばなれした怪異が組み合わさった、妙な「体験談」ではある。
クリントン・ロードの脇道を徘徊するブラック・ドッグに向かって警官が発砲した、という話は今のところ存在しない。だがアメリカ独立戦争の立役者アメリカ海軍代将スティーヴン・ディケーターに銃撃された栄誉ある怪物、ジャージー・デビルもまた、深夜のクリントン・ロードを飛び回っている。
ジャージー・デビルとニュージャージー州
ネス湖のネッシーのような未確認生物のように、ジャージー・デビルは「ジャージーの悪魔」である。
なぜかジャージー・デビルはニュージャージー州から離れて、ニューヨークやヨーロッパ、果てはアジアには来ない。
ジャージー・デビルがニュージャージーを離れないことには理由がある。ジャージー・デビルはニュージャージー州と存在するパイン・パレンズと呼ばれる地域の歴史と深い結びつきがあり、そこに住んでいた一家の13人めの子供が「ジャージー・デビル」の正体なのだ。
諸説あるのだが、生まれてくる時にあまりの難産の為に「苦しませる悪魔の子だ」というような、呪いの言葉が現実となり生まれた赤ん坊が怪物に変化したというのだ。
つまりは地元から離れたくないのである。
もう一つの要因であるパイン・バレンズ、日本語に訳せば「不毛の松林」となる。
ニュージャージー州の約22%もの面積を占めるパイン・バレンズの土壌は砂っぽく松の木で覆われ酸性が強いうえ、栄養が少ない農作物の生産には不向きな土地だ。そのため入植が開始された頃から現在まで農業目的による森林地帯の開発が進まず、工業地帯が発展して以降も手つかずの広大な森林が残され続けた。
パイン・バレンズは18世紀から現在まで、「都市伝説や怪談を育む肥沃な土地」となる歴史を歩むこととなった事もあるだろう。
ニュージャージー州の伝説
ジャージー・デビルは、そうしたニュージャージー州の伝説のひとつに過ぎない。
次回はクリントン・ロードの伝説からはなれ、ニュージャージー州パインバレンズの主なもので6つの伝説する。
そこから、ジャージー・デビルの意外な一面について話を進めていこうと思う。
※画像はイメージです。
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