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CQBとCOCの違いは?

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アクション物の映画やドラマ、また漫画やアニメにおいても主人公たちが激しい戦いを繰り広げる場面と言うのは、長距離から銃火器等によって攻撃されるよりも相手との接近戦を行う方が最大の見せ場だろう。

これは銃火器の普及した現在的で合理的な視点で見れば、かなりアナクロで非効率な戦い方である事は言うまでもないのだが、メタ的に見れば絵面や構図として見る側に迫力を与える点が大きいからだろう。
作品によってはそうした接近戦を行う事の理由付けが、その作品全体の世界観を示す重要なファクターとなる訳で、例えば新世紀エヴァンゲリオンの使徒との戦いなどがそうした代表例と言えるのではないだろうか。

現実の軍事的な側面からは接近戦を表す用語としては、CQB(クローズ・クォーター・バトル)やCOC(クローズ・クォーター・コンバット)があるが、ほとんど同義語のように扱われている。
そこで今回はこのCQB(クローズ・クォーター・バトル)とCOC(クローズ・クォーター・コンバット)の違いや、歴史的なその起こりなどについて、少しだけ解説を試みたいと思う。

目次

CQBとCOC

CQB(クローズ・クォーター・バトル)は日本語に直訳すれば近接戦闘となるが、主として狭い空間内での相手と対峙する戦いを指すものの、そこで使用される武器は銃火器が想定されると考えて良い。
一方でCOC(クローズ・クォーター・コンバット)は日本語に直訳すれば同様に近接戦闘ではあるが、相手との戦いに用いられるものは銃火器ではなく、もっと直接的な肉体等による攻撃を主にしている。

それは肉体による打撃や組技、そしてナイフ等を用いる接近戦闘の中でも格闘戦と呼ぶべき戦いを指しており、銃火器を使用しない若しくは使用出来ない状況を想定したものだと考えて良いだろう。
CCC(クローズ・クォーター・コンバット)においては、ナイフのように予め自身で用意した武器に留まらず、その時に身近にあるもの全てを利用しようと言う概念で、何でもありの格闘戦だと言える。

近接戦闘CQB(クローズ・クォーター・バトル)

治安が非常に良く且つ、軍隊も自衛隊と言う建前の元で特殊部隊等の存在も身近ではない日本においては、近接戦闘という言葉は映画やドラマ、漫画・アニメ等の世界で耳にする事が大半であろう。

そうしたCQB(クローズ・クォーター・バトル)と言う用語を実際に用いる場面があるとすれば、概ね30メートル以内での接近した銃撃戦を指しており、市街戦や閉鎖された空間内での状況を想定しているものである。
そうした状況下では全長が長く、取り回しに何のあるアサルト・ライフルなどよりも、もっと小型のサブマシンガンやハンドガンでの戦闘の方が優位性が高い。

近接戦闘COC(クローズ・クォーター・コンバット)

COC(クローズ・クォーター・コンバット)は、歴史の上ではイギリス人のウィリアム・E・フェアバーンが体系化したものであると考えられており、その起こりは中国最後の清朝の時代に遡る。
当時清朝の領土の植民地化を図り進出を強めていたイギリスを始めとする列強各国は、上海に共同租界を1842年から築き、その警察組織の幹部であったウィリアム・E・フェアバーンはある任務を与えられる。

それは上海共同租界を維持する為に、現地民に対する抑圧と治安維持を目的として警察部隊の能力の向上を企図したもので、効果的な接近戦闘を行うべく様々な格闘技を取り入れディフェンドゥーとなった。
ディフェンドゥーの特徴は従来の格闘技に見られた習得に時間を要する事を排除し、短期間で効果を得られるように組み立てられ、銃火器はもちろん机やイスなどを攻撃に用いる方法をも含んでいた。
この後第二次世界大戦が始まるとイギリス本国に戻ったウィリアム・E・フェアバーンは、イギリス陸軍の特殊部隊の指導役(大尉)に任じられ、ディフェンドゥーを更に暗殺向けの内容にまで進化させる事に繋げた。

ウィリアム・E・フェアバーンが体系化したディフェンドゥーを始めとする格闘術は、イギリスやアメリカの特殊部隊の基本カリキュラムに組み込まれ、今も続くそれらの訓練の源流のひとつとなっている。
またウィリアム・E・フェアバーンは上海共同租界時代の部下でもあったエリック・A・サイクスと、フェアバーン・サイクス戦闘ナイフと呼ばれる特殊部隊向けの諸刃のナイフを開発した事でも知られている。

ウィリアム・E・フェアバーンが体系化した接近戦の格闘術は、これまで述べてきたように上海時代にはディフェンドゥー称していた事でも明らかなように、当初は護身術的だったものが攻撃的に変化して行ったと見做せる。
これも第二次世界大戦と言う史上最大の戦争と言う時代背景が左右したと考えてよいのだろうが、軍の特殊部隊の格闘術を指導すると言う要職でありながら大尉と言う階級は少し意外な気がしなくもない。

結局のところ近接戦闘をどう捉えるべきか

これまで見てきたように現代的なCOC(クローズ・クォーター・コンバット)と言う概念の確立には、イギリスのウィリアム・E・フェアバーンが果たした影響とその格闘術の与えた影響が極めて大きい。
しかもそのウィリアム・E・フェアバーンがそうした格闘術を体系化するに至った要因は、当時の中国の清王朝へのイギリスの植民地支配の強化と言う後ろ盾があり、帝国主義の時代背景を色濃く反映している。

そうした負の側面を踏まえながらも、戦術としてのCOC(クローズ・クォーター・コンバット)を見ていくと、それはCQB(クローズ・クォーター・バトル)が内包する構造にある事が感じられる。
そう言えば週刊ヤングマガジンに連載されて映画化されるほどの人気を博した作品「ザ・ファブル」の主人公も、人間離れした暗殺用の格闘術を身に着けたキャラクターとして存在感を発揮していた。
今後も日本ではこうしたフィクションの世界を中心に、近接戦闘を描いた作品が楽しめる事を期待したいと個人的は思わずにはいられない。

※画像はイメージです。

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