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おばあちゃんの人形

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子供の頃、おじいちゃんとおばあちゃんが住んでいる母屋の隣にある、離れの家で私達の家族は暮らしていました。
おばあちゃんは私の事をとても可愛がってくれるのですが、大切にしている古い人形が怖くて母屋へあまり近づくことができなかった。
人形にまつわる話を致します。

目次

不気味な人形

おかっぱ頭で薄汚れた着物を着たその人形は、見た目からして不気味で怖い。
ある時、おばあちゃんに頼んで箱に入れてもらいましたが、誰も触っていないはずなのにいつの間にか元の場所に座っているのです。
後から聞いた話だと、大切にしている人形だから可哀想と思っておじいちゃんが元に戻していたそうなのですが、おばあちゃんは箱に入りたくないのだろうといって、普通じゃない事なのにまるで当たり前のことのように接します。
なにか言葉で表せない恐怖心がどんどん強くなっていっていったのでした。

月日が経ち、私の高校受験の日におじいちゃんが亡くなってしまい、よほどショックだったようで春を迎えて高校に入学した頃には、具合が悪くなっておばあちゃんは寝たきりになってしまいます。

私達家族は介護のためにも母屋で暮らす事になるのですが、一番奥にある人形が飾ってある部屋から、ただならぬ気配を感じるようになり、襖を開けて中を覗くとあの人形が睨みつけてくるように見えるのです。

あんな恐ろしいものと一緒に暮らすのは限界、お父さんに泣きついて人形供養(お寺や神社で引き取ってもらい、だいたいの場合お焚き上げして供養すます)するようお願いしたのですが、人形を絶対に処分してはならないとおばちゃんに強く言われて出来なかったそうです。

人形のいきさつ

母屋に引っ越してきてからというもの、夜中になると廊下をだれかが走り回るような音が聞こえたり、だれもいない部屋から話し声がしたりと不思議な現象が起こります。
家族に相談してもそんな事はないようで、どうやら私だけが体験している。
おばあちゃんに話しても、当たり前のように放って置きなさいというばかり。
なんで私だけが怖い思いをしなければならないの!と怒りすら覚えます。

休みの日、おばあちゃんのお世話で話し相手をしていると、私が怖がっている事を知っているので、少しでも人形と仲良くなってもらおうと思ったようで、あの人形の事を話し始めました。

人形の持ち主はおばあちゃんが幼い頃、近所に住んでいた仲の良い女の子がいて、病弱なうえに親から虐待を受け、小学生で亡くなってしまった。その子が生前ずっと大事にしていた人形がゴミに捨てられていたのをみつけ、持ち帰り、もつれた髪を整えたりして、大事に保管していたのというのです。
おばあちゃんは「仲良くしてあげてね」とニッコリ微笑むのですが、話を聞いたら余計に怖くなった。

お通夜の夜

それから約1年経ったとき、おばあちゃんは眠るように安らかに亡くなりました。
おばあちゃんが亡くなったのは悲しい、ですが、あの人形を処分できると思うと不謹慎ですが嬉しさがこみ上げてきます。ついに怖い思いから開放されると思った矢先、お通夜の時、父親があの人形を形見でとっておきたいと言い出しました。
それは絶対にイヤ、どうしたら良いのか?と思いついたのは・・・。

葬儀が滞り無く進んでいよいよ最後のお別れの時、「おばあちゃんが夢に出てきて、人形と一緒にいたいと言った」と葬儀にきていた親戚達に訴え、棺桶に一緒に人形を入れたいとお願いしました。
それがおばあちゃんとあの子に対する最大限の供養になると付け加えると、葬儀屋さんにはだいぶ渋られましたが棺桶に入れることが出来たのです。

業火に焼かれおばあちゃん共々、綺麗な灰になり、花を添えてやり手を合わせると今まで感じたことの無い安らかさを感じました。
おばあちゃんごめんね。

※画像はイメージです。

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