十二支の1つである『辰(竜)』という生き物は、本当に実在したのでしょうか。
現代まで物語の題材や信仰対象として親しまれる、この生き物の正体について考察していきたいと思います。
『辰』とは何か
2024年の干支と言えば『辰』ですね。
辰は十二支の5番目にあたり、その『辰』という漢字には、もともと『草木が成長して、姿形が立派になる』という意味がありました。
そもそも十二支とは、古代中国で作物の出来や吉凶を占うために生まれたものでした。
次第に、庶民にも分かりやすく理解してもらうため、各漢字には動物を当てはめるようになり、こうして現代まで、動物たちが各年の干支を象徴するようになったのだと言われています。
『辰』はその、草木が成長していく立派な姿が竜(龍)に似ており、竜は権力や威厳・繁栄の象徴でもあったので干支の動物に選ばれたという説があるようでした。『辰』という漢字には『揺れ動く』という意味もあるため、巨体を震わせる竜が干支に当てはめられたという説もあります。
では、その竜(龍)とは本当に、古代中国に実在した動物なのでしょうか。
『竜』は『ワニ』?
実は、竜の正体はワニなのではないか?という説があります。
古代中国及び、古代日本には『マチカネワニ』という、とても巨大なワニがいました。
すでに絶滅してしまったマチカネワニですが、全長はだいたい6.9m~7.7mあったらしく、現代にいるワニの平均体長が約2m~4.6mなので、かなり大きな部類に入ると思います。
その巨大なワニであるマチカネワニが竜の正体なのでは。と言われているのですが、中国で見つかったマチカネワニの近縁種『ハンユスクス』と名付けられたワニの骨には刀傷が残っており、このことから、
人間がワニの討伐をしていたことが推測できるでしょう。
恐らく、この巨大なワニたちは人間の畏怖の対象となっていたのではないでしょうか。
そのワニが神格化され、人々に畏れられた結果『竜』という空想上の生き物が生まれたのだとしても不思議ではないかもしれません。
恐竜の化石の可能性も
中国大陸は恐竜の化石が頻繁に発掘される場所でもあり、たとえば2012年に中国新疆ウイグル自治区トルファンで発掘された草食恐竜の化石は、推定体長が約35m、体重は約30tもありました。
2020年に福建省竜岩市竜翔村で発見された『デイノニクス』という恐竜の足跡も、平均の長さが約36.4cm、幅16.9cmもあったらしいです。
デイノニクス類としては世界最大らしく、中国はたびたび大きな恐竜の化石や足跡が見つかる、発掘の宝庫のような場所だということが伺えるでしょう。
こうした化石を古代の人々も見つけ出して、
巨大で恐ろしく、神々しい生き物である『竜』として認識しても不思議ではないかもしれません。
竜は本当に実在したのか?
伝説の生き物である『竜』の正体が古代のワニや恐竜であれば『ああ、やっぱり竜なんていなかったんだな』と、がっかりする人もいるでしょう。
けれども、かつて絶滅した彼らが形を変えて現代まで語り継がれ、人々の生活の中に干支や物語の題材として親しまれているのは、歴史と生命の魅力が溢れる、美しいロマンなのではないかと私は思っています。
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