道の脇に潜むものの正体

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地方で生活していると、車は生活必需品です。
公共交通機関が不便なので、通勤や買い物、移動のほとんどを車に頼る事になります。
だからこそ、ある出来事をきっかけに違和感を抱くようになったのでした。

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前を走るの不審な車

それは、前を走る車の挙動でした。
何の変哲もない道路を走行中、前方の車が突然センターラインを大きく越えてしばらく対向車線を走行し、なにもなかったように、元の車線へ戻り、そのまま普通に走り続けました。

追い越しではありません、道路には水たまりがあったわけでもなく、陥没しているわけでもないのです。
一体何だと違和感はあったが、深く考えず、すぐに忘れてしまっていました。

ところが、そういった出来事は一度きりではありません。
時期も場所も異なる道路で、同じようにセンターラインを越える車を何度も目撃するようになったのです。
いずれも一瞬だけ大きくはみ出し、その後は何事もなかったかのように走行を続けていきます。

障害物やなにか危険を回避した訳ではなさそうです。
運転ミスや脇見運転、居眠りなどの可能性も考えたのですが、どれも当てはるとは思えません。
昼夜や天候に関係なく、その場所を通過する前走車だけが、まるで何かを避けるかのように進路をずらすのです。

道路の脇に潜むもの

ある時、助手席に、自称霊感のある友人を乗せて走っていた時のことです。
突然、友人が「うわぁ!」と声を上げ、咄嗟に何かを避けるような仕草をしました。
驚いて理由を聞くと、「今、道路の脇に何かが立っていた」と言うのです。
私には何も見えていなかったが、友人の話では、人の形をしたものがそこにいたらしい。

その瞬間、これまで見てきた前走車の不自然な挙動が頭をよぎります。
理由もなくセンターラインを越える車、何もないはずの場所で、まるで何かを避けるような動き。
あれは、運転者や同乗者が「見えてしまった何か」を避けていたのではないか?
そう考えた時、点と点が繋がったような感覚を覚えました。

見えないだけで、道路の脇には得体の知れない存在が立っている。
そう思い始めると、運転中にふと背筋が冷えることもあるのです。

真実は

ある出来事が、その考えを一気に打ち砕きました。
走行中、「ブチッ」という嫌な音と同時に違和感を覚え、車を止めて確認すると、タイヤに血のようなものが付着していました。よく見ると後方に、野ネズミの死骸が落ちています。
どうやら気づかないうちに轢いてしまったらしい。

後日、その話を会社で同僚にすると、笑いながらこう言われました。
「この辺じゃよくあるよ。ネズミはしょっちゅうだし、猫やイタチもいる。夏ならカエルなんかもな」
実は、自分は眼鏡をかけて、ようやく免許が通る程度に視力が悪い。

つまり、これまでセンターラインを越えていた車は、幽霊を避けていたのではないのです。
あくまで私の推測であり事実を確認したわけではありませんが、私には見えない、小さな動物を避けていただけだったのでししょう。

例の友人の話を同僚にすると、大笑いされました。
「自称で幽霊が見えるって言うやつの言うことは、だいたい信用ならない」
友人の事を馬鹿にされた怒りよりも、その言葉に、何も言い返せません。
日常の違和感を、都合よく非日常に結びつけていたのは自分だったと恥ずかしく思いました。

※画像はイメージです。

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