魚のこんぴらまいり

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私の地元に古くから伝わる、瀬戸内海の魚をモチーフにした民話です。
子どもの頃の聞いて断片的に覚えている話を、思い出せるかぎり書き起こしてみました。

目次

魚のこんぴらまいり

むかし、むかしのあるとき。
瀬戸内海の島々の海流に暮らす魚たちは 毎日楽しそうにおよいでくらしておった。
競争をしようと 話し合いがはじまったそうな。

「それじゃ、どこまでおよいでいくかのぉ?」
「どこがええかの?厳島(いつくしま)までがええぞ。」
「いやいや、鳴門までのほうがええぞ。」

がやがや わいわい とみんながいろいろなことを言っていたそうな。

「それじゃあ、こんぴらさんまで競争し、そこでみんなで一緒におまいりしたほうがいいのぉ。」

縁起がいい それがいい ということになって、いい日和を選び、競争することにした。

クジラ タイ フグ カレイ オコゼ ボラ など、じつにたくさんの魚が集まって競争が始まったんじゃ。

やっぱり一番早かったのは、大きな大きな体をしているクジラだったんじゃ。
クジラはもっともっと早くと思って精いっぱい早く泳いでいたら、海流の速さと小さな小島が多いから、方向転換できずに浜に乗り上げてしまったんじゃ。

困り果てて弱っているところを、後から来た魚たちが見つけて、
「ありゃりゃ。いくら競争でも、こんぴらさんへは一緒にお参りすることになっとったんじゃ、たすけでやろうや。」

ということになり、クジラを助けることになったんじゃ。

だけども、助けるといってもクジラは大きいので、押しても突っ張ってもちっとも動かんので、困り果てた。

色々話しあったすえ、
「だれか クジラの下に入り、持ち上げたらよかろう。」
ということになった。そうしたら、ふっくらしたカレイが、
「よっしゃ わしが下に入るぞ。」と言って下に入っていった。

次は押すのだが、誰も進んでやるというものがいないので、だれがいいかとがやがやいうが、なかなか決まらんかった時、美人のボラが、
「勇気を出して押した人は、わたしがお嫁になりましょう。」といった。
そうしたら、美男として有名なオコゼが進み出て、
「ぼくがおすぞ。」
といって、勢いをつけて思いっきりぶつかった。そこでクジラは無事に砂浜から降りることができたんじゃ。

ところが、いままでふっくらとしていたカレイはぺっしゃんこになり、美男としてほまれたかかったオコゼはくしゃくしゃのかおになってしまって。
美人のボラは、約束通りオコゼのお嫁さんにならないといけなかったんじゃ。
ボラはくしゃくしゃの顔をしたオコゼのお嫁さんになると思うと、悲しくなり、ときどき海の上を ぴちゃ ぴちゃ と 跳ねては憂さ晴らしをするようになったんじゃそうな。

これで おしまい。

このお話の解説

魚たちの信仰心や仲間を助ける事で体の形が変わってしまったという結末がユーモアを交えた形でおもしろい話だと思っています。
最後に美人のボラが悲しがるのもなかなかオコゼには辛い結果でまた好きな部分なのです。

※画像はイメージです。

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