FNハースタル社がある意味社運をかけ世に問う?F2000

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現在、世界各国の軍隊が歩兵の主力兵器として採用しているアサルトライフル、その中でもアメリカのAR系と旧ソ連・現ロシアのAK系が2大勢力として君臨していると言って良いだろう。
アメリカ軍がAR系としてM16の正式採用を行ったのは1962年、旧ソ連がAK系としてAK-47を正式採用したのは1949年と13年程差があり、アサルトライフルを歩兵の主力兵器としたのは後者の方が速かった。

但しこれらのAR系やAK系では当然使用する弾薬の規格が異なり、現在のアサルトライフルでイメージされる小口径高速弾を用いると言う定義からするならば、前者の方が先進的であった事は間違いない。
そんな小口径高速弾を用いる現在のアサルトライフルではあるが、2022年にはアメリカ軍が6.8×51mmの規格である277FURY弾のSIG SAUER社製のXM7をM4カービンの代替として採用を決めた為、以後西側諸国ではこれに倣う動きも予期される。

こうした使用弾薬の変更による大口径化と言う新たな転機が訪れつつあるアサルトライフルだが、AR系・AK系ともにトリガーの前方に弾倉、後方に機関部を置く機構は共通しており、今も主流ではある。
しかし1977年にオーストリア軍が正規採用したステアーAUGは、この機構を改めて弾倉も機関部もトリガーの後方に置くブルパップ方式となっており、銃身長は変わらないまま銃本体の全長を短縮した事で注目を集めた。

ステアーAUGの登場によってブルパップ方式のアサルトライフルを他のメーカーも開発する事となり、ベルギーのFNハースタル社が世に送り出したのがFN F2000であった。

目次

ヨーロッパの銃器製造企業の名門・FNハースタル社の成り立ち

ブルパップ方式のアサルトライフルであるFN F2000を開発したのは、ヨーロッパの小国であるベルギーに本社を構えている老舗の銃火器製造企業であるFNハースタル社で、その歴史は1889年の創業にまで遡る。
FNハースタル社が1889年に創業された理由は、小国であり自国では独自の小銃の製造が困難であった事から隣国ドイツのマウザー社製の小銃を、自国陸軍が採用した事に伴いそのライセンス生産を行う為だった。

この為、FNハースタル社は創業から凡そ100年を経た1991年、フランスの軍需企業体に買収されるまでベルギーの国営の銃火器製造企業として歩み、1997年に自国のハースタル・グループの傘下となり現在に至る。
FNハースタル社が銃器製造企業として発展を遂げた大きな要因の一つとしては、アメリカ人の銃器設計技師として世界的に著名なジョン・ブローニングと手を結み、彼の設計した銃器を製造した事が外せないだろう。

FNハースタル社はジョン・ブローニングの設計した小型自動拳銃のM1900のライセンス生産を始め、その遺作となった近代的自動拳銃の先駆けとして複式弾倉を採用したハイパワーを世に送り出し地位を固めた。
第二次世界大戦時にはベルギーはドイツに占領された為、FNハースタル社もドイツ軍に向けた銃火器の製造を強いられたが、戦後には独自の開発を再開して同社の名声を飛躍的に高める自動小銃を開発する。
ここでFNハースタル社が1953年に完成させた自動小銃が7.62×51mmNATO弾を使用するFALであり、ヨーロッパのNATO加盟国は元より実に世界の90ケ国を超える軍に採用され、同社を世界的な銃器企業に押し上げた。

近年のFNハースタル社の立ち位置

その後、FNハースタル社はFALを5.56x45mmNATO弾仕様に改めたアサルトライフルであるCALをリリースするも、これは商業的には成功せず、代わりに同弾を使用するミニミ軽機関銃がアメリカを始め日本でも採用され評価を得た。
これらFALやミニミ軽機関銃で1970年代までは商業的な成功を継続できたFNハースタル社であったが、1980年代に入ると新世代のサブマシンガンであるP90と、BRG-15重機関銃を新規開発し、自社で市場の開拓を目指した。

P90は従来のサブ・マシンが使用していた拳銃弾を改め、5.7x28mm弾という専用の高速弾を用いる事で進化したボディアーマーを貫通する事を企図し、PDWと呼ばれるサブマシンガンの亜種のはしりとなった。

BRG-15重機関銃は、従来の西側諸国を中心とするブローニングM2銃機関銃の代替を目指したもので、前者の12.7mm弾を15.5mm弾まで大型化させたが、信頼性も高く運用に不都合のなかった前者を変える理由が乏しかった。
その為にBRG-15重機関銃は1990年代初頭には開発が中止され、先のP90もペルーなどの一部の国の特殊部隊で採用はされたものの、後発のPDWであるドイツのH&K社のMP7にセールス実績で敗れる事態が続いている。
また世界的にも西側諸国の軍需産業は、1991年の旧ソ連の崩壊の伴う軍縮時代の到来によって需要そののもの減少に直面、FNハースタル社もこの余波を受けた事、成功作に恵まれなかった事で市場シェアを低下させている。

FN F2000の概要

前述したように1980年代以降は商業的な成功から遠ざかり、かつての隆盛を喪失してしまったFNハースタル社だっが、そんな同社が2001年に世に送り出したのがブルパップ方式を採用、5.56x45mmNATO弾 (SS109) を用いるFN F2000だった。
FN F2000は全長が688mm、銃身長が400mm、重量が3.6kgでショートストロークピストンのロータリーボルトを作動方式に採用、5.56x45mmNATO弾を30発の箱型弾倉に収め、発射速度はフルオート時に毎分850発で、銃口初速が秒速900m、有効車射程が凡そ500mとされている。

FN F2000は、当時のアメリカの陸・海・空・海兵隊の4軍が共に採用するOICW(オブジェクティブ・インディビジュアル・コンバット・ウェポン:個人主体戦闘武器)の推進を念頭に置き、そこで求められた仕様に準拠して設計された。
この為標準型のFN F2000は、1.6倍の光学式照準器を備えているが、タクティカルと称されたバージョンでは着脱が可能なフロント・サイトと折り畳み式のリアサイトを備え、本体上部のピカティニーレールにより各種の照準器も装着できる。

こうした造りは近年の銃火器に標準となりつつあるモジュラー化に対応したもので、使用する用途に合わせ各種のパーツの組み合わせが可能となっており、GL1グレネード・ランチャーの取り付けも可能となっている。
またアメリカの民間市場に向け、FS2000と言う名称でセミオート射撃のみの仕様に改められたバージョンもあり、こちらはオリジナルのFN F2000よりも若干銃身長が延長されたもので、これをベースとした複数モデルも展開されていた。

機能面から見たFN F2000

FN F2000のデザインは前述したようにFNハースタル社が先行して販売を行っていた、PDWであるP90と同様のブルパップ方式を採用している事もあり、その近未来的な全体の造詣とデザインには共通するものを感じる。
但し排莢はP90では薬室から真下に空薬莢が落下する方式だった事と異なり、FN F2000では発砲後の空薬莢は薬室から銃身の前方に設けられた排莢口に、言わば散弾銃のチューブラー・マガジンのような形で送られれて排出される。

このFN F2000の排莢のギミックは、ステアーAUG等のように先行して開発されたブルパップ方式のアサルトライフルのデメリット、射手の顔に近い位置に薬室があり、そこでの撃発と排莢の問題を解決しようとする試みだった。
FN F2000はこうしたブルパップ方式の銃火器の欠点を克服する為、薬室の密閉度を出来得る限る高めて、射手への撃発音を低減させ、またその際に生じる高温の排煙や空薬莢を前方に逃がす事で対処した形である。

但しこうした機構を組み込んだ事により、確かにFN F2000は射手への発砲時の欠点の改善には寄与したものの、構造が複雑化している事からジャム等の発生時にはその解消にどうしても手間がかかる別の問題を内包している。
またFN F2000は機関部の防塵性を高める為、弾倉のリリースはリリースボタンを押した上で弾倉自体を手で引き抜く必要があり、AR系統の操作系に慣れた射手からすれば評判は凡そ芳しくない。

FN F2000と言うアサルトライフルの現在

FN F2000は中央ヨーロッパの小国・スロベニアが自国軍の主力小銃として採用、F2000Sの名称で2006年から201年にかけて総数で14,000丁が調達され、他にはサウジアラビアやインド、そしてパキスタンなどに採用された。
しかし何れの国の採用も数量的には少なく、FN F2000は商業的には成功しなかったアサルト・ライフルと言わざるを得ず、既にFNハースタル社のWebサイトであるのライフルのページにも掲載されていない。

同サイトのライフルのぺージに2024年6月の現時点で掲載されているのは、PDWのFN P90シリーズ、アサルト・ライフルのFN FCARシリーズ、及びFN 15シリーズ、と軽機関銃のFN M249Sシリーズのみである。

FNハースタル社自体が今後の自社のアサルト・ライフルの主軸と考えているのは、ここからもAR系のFN FCARシリーズである事は間違いなさそうだが、FN F2000と言うよりブルパップ方式自体が廃れつつあるのが実情だろう。

featured image:AndrejS.K, Public domain, via Wikimedia Commons

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