突然ですが「フー・ファイター(英語表記:foo fighter)」と言う言葉や、それがどのような事象を意味するのかについてよく知っていると言う方は、日本では一部の未確認飛行物体、所謂UFO界隈の方々に限られるのではないだろうか?
「フー・ファイター」とは主として第二次世界大戦に連合国側として参加した航空機の搭乗者や、地上や海上にあったその兵士達が、ヨーロッパ及び太平洋等の方面の空で目撃した正体不明の飛行物体を総称する単語である。
その意味にいおいて「フー・ファイター」とは正に未確認飛行物体の事を指し、今日的には所謂UFO:未確認飛行物体)の一種である事は間違いないが、後者の呼称は1947年以後普及した為、前者はそれより前だったと言える。
故に1947年以降であれば、その事象は所謂UFO:未確認飛行物体)の一種と判断されたと思われるが、そのような定義が存在指令なかった時期に、主に連合国の兵士ら目撃例が多数報告された総称が「フー・ファイター」だ。
当時は1939年9月から始まった第二次世界大戦の真っ最中であった事から、「フー・ファイター」を目撃したと思われる連合国軍の兵士の多くは、それが枢軸国側の未確認な兵器でなはいかと推測した。
「フー・ファイター」はその名称の中に戦闘機を示す「ファイター」が入れられている点からも分かるように、目撃した連合国軍の兵士からはドイツや日本の新兵器である戦闘機ではないかと考えられたようだ。
しかし目撃したと言う報告は多数あれど、「フー・ファイター」の名に反し、それらが自分達に向かって攻撃を仕掛けて来たと言うレベルのものは皆無であったとされる。
また連合国側の兵士のみならず、「フー・ファイター」と思しき飛行物体の目撃例は、疑われた側のドイツや日本の兵士達からも報告されており、双方が疑心暗鬼な状態にあった事は想像に難くない。
「フー・ファイター」とその名称の出所
「フー・ファイター」は前述したように、1939年9月のナチス・ドイツによるポーランド侵攻により生起した第二次世界大戦中に、連合国と枢軸国が対峙した多くの地域で双方の兵士達からの目撃が報告された。
総じて寄せられた目撃例によれば「フー・ファイター」は、自ら光を放つ球形であったり、金属板で作られたような形状であったとされるケースが多く、それらが複数で飛翔していたとの証言が多かった。
そして「フー・ファイター」の飛翔の在り方は、目撃した兵士の友軍の航空機に並走するような、あたかもそれらを追尾するかのようなものであったり、上空から対象の戦場を監視するかのような動きを行ったとの報告が多い。
このような目的不明の未確認飛行物体の存在が「フー・ファイター」と称された理由は、アメリカにおいて1935年から連載されていた「スモーキー・ストーヴァー」と言うナンセンス・コメディ漫画に由来すると言うのが通説となっている。
「スモーキー・ストーヴァー」という漫画作品において、その「スモーキー」と言う名の消防士の主人公は多くの場面で「フー・英語表記はfoo」と言う単語を発し、これが火事を引き起こす大元のように使用された。
ここからこの主人公・スモーキーの存在を「フー・ファイター」と表現した単行本も出版された記録があり、これをそのままアメリカ軍兵士が第二次世界大戦で遭遇した未確認飛行物体を指す用語に転用したとの説がある。
また当時のアメリカ軍のスラングの中には「Fucked Up Beyond All Recognition:打つ手がない程に奔放の意」と言う表現も存在し、これは対戦した主として格闘戦を得意とする日本海軍の戦闘機、つまりゼロ戦等の操縦者を蔑視する形で用いられていた。
これが転じて数多くの目撃例において、奇想天外な飛翔をしたとされる未確認飛行物体の事を「フー・ファイター」と呼称すつるようになったとの説もあるが、最初の説の方が有力視されているようだ。
「フー・ファイター」の主な目撃例
「フー・ファイター」の目撃例として著名なものに、1941年のインド洋上にて生起した事績が記録に残されている。このケースはイギリス軍の部隊を乗せたポーランドの民間船・S.S.プラスキ号での出来事である。
インド洋を夜間に航行していたポーランドの民間船・S.S.プラスキ号のデッキ上にて、2名の乗組員が上空に緑に光る球体上の飛行物体を目視、何と夜空に浮かぶ満月と比してその半分ほどの大きさに迄達したと言う。
この謎の緑に光る球体上の飛行物体は、凡そ1時間以上にわたって当該のS.S.プラスキ号を監視するかのように飛翔を続けたとされており、緑に光る、巨大な球体に見えたと言う点が印象に残る。
続いての目撃例としては、翌1942年に南太平洋のソロモン諸島の上空において、アメリカ海兵隊員らが凡そ150ケほどの未確認飛行物体が、10ケないし12ケ程の編隊を組んで飛翔しているのを確認したとされる。
これらの未確認飛行物体は、各々が微妙に振動しながら飛翔しているように見えたとされ、形状は不明ながら色はさながら金属の銀を磨いたかのようであったと言い、飛翔速度は通常目撃している日本の航空機より幾分早く感じられたと伝えられている。
1945年に世界的に著名なタイム誌に掲載された記事では、上陸し解放したフランスに航空基地を設けたアメリカ軍の夜間戦闘機の搭乗者達が、ドイツの上空において自らの機体を追尾するかのような未確認飛行物体の目撃例が語られた。
ここでの未確認飛行物体は「火の玉」と形容されており、当該のアメリカ軍の夜間戦闘機を追尾してきたが、これをアメリカ軍の搭乗者達は「フー・ファイター」と呼び、物理的なものではなく心理学的なドイツの兵器との見立てが紹介された。
「火の玉」と形容されるだけあってこのケースでの「フー・ファイター」の見た目は、赤い球状をしていたと語られており、物理的な兵器ではない可能性に言及されている点が、個人的には興味深く感じる。
目撃談を踏まえた「フー・ファイター」の正体の考察
これまで紹介してきたような様々な「フー・ファイター」の目撃例を踏まえ、その正体が何なのかを推測する説は複数存在するが、以下にその主なものを挙げていきたいと思う。
先ずヨーロッパ方面での「フー・ファイター」については、ドイツ軍が自軍の飛行場の防衛の為に対置した対空砲から、友軍の迎撃用の夜間戦闘機の行動を支援するべく発射した発光する砲弾を誤認したとの説がある。
続いて飛行中の航空機の翼で稀に発生する、俗に「セントエルモの火」と呼ばれる放電によって生じる物理的な現象が、「フー・ファイター」の正体なのではないかと推測する意見も見られる。
同様に自然界で起こり得る物理現象として、大気の中で電気を帯びた球状の物体が発光を伴い浮遊する「球電」と呼ばれるものがその正体ではないかと唱える説もある。
また第二次世界大戦後から連綿と続いているのが、ナチス・ドイツが円盤型の航空機を新兵器として開発したいたと言う部分的な事実に結び付け、それこそが「フー・ファイター」の正体だと強弁する向きも根強い。
更には冒頭でも触れたように、1947年以降は未確認飛行物体(UFO)は地球外から飛来した知的生命体の乗り物であると言う解釈が、広く世界の人口に膾炙した為、「フー・ファイター」の正体もそうだとする説もある。
最も新しいところでは2024年2月にアメリカの複数の大学の合同研究チームが、「フー・ファイター」の正体はプラズマである可能性が高いとする論文を発表、個人的には今のところこの推測が理に叶っていると思える。
「フー・ファイター」からも感じる世界的な未解明領域の減衰
これまで見てきたように第二次世界大戦時から現在に至るまで、この世界における解明されていない謎の一つとも言えたであろう事象が「フー・ファイター」であった事は間違いないだろう。
しかしここに来て、2024年2月にアメリカの複数の大学の合同研究チームが「フー・ファイター」の正体はプラズマである可能性が高いとし、その指摘は概ね的を得ているように思える。
但しかつて日本の有名私立大学の教授として、数多くのTV番組にも出演していた某氏も多くの超常現象はプラズマで説明可能とし、イギリスのミステリー・サークルの発生原因もそうだと述べていたと記憶している。
ミステリー・サークルに関しては、一部について人力で板を使って作成したと名乗り出た人物がおり、実際に再現して見せた事でプラズマ仮説は否定されたことも、一部の人々の記憶には新しいだろう。
ただ何れにせよ、良くも悪くも科学の発展と主に、この世界における未解明領域の減衰は進んでいると感じられ、ある種のロマンが失われて行く事は、一抹の寂寞とした想いを禁じ得ない。
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