小学生の私には楽しみにしていることがありました。
それは両親が所属している、ソフトバレーボールの練習について行くことです。
練習は夜の体育館で行われ、大人たちが練習をしている間は、自由に体育館内で遊ぶことが出来ました。
親や大人たちがすぐ側にいて、子ども同士もなんとなく数人で固まって遊んでいたので、夜の学校だというのにそれほど怖くはありません。
それよりも普通は外に出られない時間に出歩いて、普通では入れない場所で遊ぶことの出来るワクワク感の方が強かったのを覚えています。
真っ暗ダッシュをしよう
ある日のこと、同じくらいの年代の子供たち7、8人集まって遊んでいると誰かが「真っ暗ダッシュ」しようと言い出しました。
よその体育館は分かりませんが、私の学校の体育館は電気のスイッチが出入り口の対角線上の一番奥にあり、練習を終えると、大人の誰かが電気を消して暗い中を入口まで歩いて戻ってくるのです。
その大人について行って、電気を消し始めたら出入り口に向かってみんなで走ろう!という遊びの提案で、「面白そうだ」と思いやることに決めました。
走っても走っても
パチン、パチン、電気が消され始めると同時にみんな一斉に走り出し、足が速い方でなかった私はあっという間に暗闇の中に取り残されてしまい、恐ろしくなって必死に走っているとすぐ後ろで走る足音がします。
「ああ良かった、私が最後じゃなかったんだ」そう思って安心すると同時に「この子に抜かされて一番後ろになるのが怖い」という気持ちが湧いてきました。
足音はすぐ後ろ、息遣いが聞こえそうな距離から聞こえます。
こちらが抜かされまいとスピードを上げると後ろの足音も早くなるような気がして、ずっと真後ろにいるという状態のまま、気が急いて足がもつれそうになりながら、なんとか出入り口の明かりのついているところへと駆け込みました。
私がビリ?!
ぜえぜえと息をしていると妹が寄ってきて言います。
「遅いよお姉ちゃん、ビリだよ」
それを聞いて、暗い体育館の中を見つめましたが、真後ろを走っていたはずの誰かはどこにもいません。
私が何も言えずに唖然としていると、消灯当番だった友だちのお父さんが暗闇から出てきました。
焦ったように私を見て、それから他の子供たちの姿を確認すると私に言います。
「もう、この遊びはしない方がいいよ」
「どうして?」とは聞けませんでした。
不思議な事
あれから、なぜかは解りませんが皆のかなでタブーのようになり、二度とこの遊びをする事はありませんでした。
それにしても、私の後ろを走っていたのは一体なんだったのでしょうか?
もう一つ、「まっくらダッシュ」を提案したのが誰だったのか・・・今でも思い出せずにいます。
※画像はイメージです
思った事を何でも!ネガティブOK!