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夜の踏切

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町外れにある踏切に「夜は近づくな」と皆が言いいます。
なぜかと言えば、昔、電車の事故で女性が亡くなってから、幽霊がでるらしい。
でも僕の住んでいる地区は過疎地で、一日に数本しか電車が来ません。
昔ってどれぐらい昔なのか知りませんが、僕の知っている限りでは事故なんて起きてなく絶対に嘘です。

ある夏の夜、久しぶりに帰郷した友人たちと飲み明かし、酔った勢いで肝試しをしようと踏切に行った。
ポッカリと真ん丸な月が地面を照らし、遠くで虫の声が響いてい、友人の一人が「世界のどんな〜マルより丸いのにゃー」とか、昔に流行ったアニメの歌を歌って上機嫌でした。

たぶん深夜の2時ぐらいだったと思う、静寂の中にカタン、カタンと微かな音が聞こえたのです。
電車は来るはずない。僕は鉄道が好きなので、もしかしら、保線整備の車両がやってきたのかな?とワクワクしながら様子をみているのですが、音だけが近づいてきます。
遮断機は上がったままで、動く気配すらありません。

「なぁ、何かおかしくね?」と友だちが呟いた瞬間、突風が吹いて、空気が急に重くなり、耳鳴りがしました。
ふと目、線路の先に人影が見えた。白い服を着た女が、こちらを向いて立ってきます。
かなり先にいるのに、なぜかその顔がはっきり見え、目の周りが真っ黒で、口元が不自然に歪んで見えます。

「おい、あの女・・・見ろよ」と言いかけた時、女が瞬き一つで目の前にやってきたのです。
遮断機がガタンと下がり、けたたましい警報音が鳴り響いたのですが、女、意外にはなにもありません。

女は俺の顔を覗き込むように首を傾げ、じっと見つめてきます。
「名前を…教えて?」
ザラザラした声が耳元で響きました。
僕は恐怖で声が出せず、ただ立ち尽くしてしまいました。友だちは叫びをあげて、逃げ出したので、慌てて後を追ったのですが・・・振り返ると女はまだそこにいて、ゆっくり手を振っています。

僕はふと気づいのですが、女に影がありません。
よるとは言え、明るい月明かりの下では、影が落ちるはずなのに。

それから数日して会社でこの話をすると、「いわんこっちゃない」と言う人と、「酔っ払っていたから夢をみたのさ」という人が半々いました。
僕の酔っ払っていたし、あのとき一緒に飲んでいた友人も「飲んでいたから覚えてない」と言っていました。
でも、あの時から、首筋に小さな手形のようなアザができていて、かなり時間が経った今でも消えないのです。

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