私が中学生になったばかりで、まだ顔見知りの友人も少なく頃。
クラスのレクリエーションでハイキングに行くことになりました。
幽霊を見た
学校かのすぐそばの山がちょっとした観光地になっていて、何人かを班分けして、頂上の展望台が目的地まで行く途中、同じ班の女の子が「森の中に誰かが立っている」と言い出しました。
その子は霊感が強いらしく、小さい頃から友達の失くした物のありかを言い当てたり、身内に不幸があることを予言したりしていたと本人は喋ります。
でも、皆が楽しくしているのに薄気味悪い事を言い出し、他の子達はドン引きです。
そんな空気を察して「嘘じゃない、泥だらけの日本兵が立っているんだもの」と話を続けるのですが、周りの子達はますます不気味に思って、全員で無視するようになったのでした。
学校に戻ると、その話は瞬く間にクラス中に回って、クラス全員が気持ち悪がって、その子を避けるようになりました。
特に中が良くはありませんが、私はすこし可愛そうになって「みんなの気を引きたいのはわかるけれど、気持ちの悪い作り話はしない方が良いよ」と、その子をフォローしてあげるつもりで話かけたのですが・・・。
私の予想に反して、「黙って立ってじっと自分を見ているだけで怖いとは思わなかった。服に縫い付けた苗字がはっきり見えた。」と叫ぶように泣き出して、手がつけられませんでした。
あれは本物?
その年の秋、私たちがレクリエーションで行った山が台風で土砂崩れを起こし、重機が入って復旧作業をしていると、人の骨が発見されたのでした。
地元でちょっとした話題になり、警察の鑑定によるとかなり古いもので戦前ぐらいに亡くなったものらしい。
その近辺にお墓がある訳でもないので、なぜこんな所に一体だけ埋められていたのかは全くわからないようでした。
ふと霊感の強い女のハイキングでの話を思い出し、なにげなくお婆ちゃんに話をすると、
「この村で、戦争中に徴兵が嫌で逃げた男性、非国民扱いされてぶっ殺された」という物騒な事を言い出しました。
骨がその日本兵かどうかはわかりませんが、男性の身内の人が山へ線香をあげに行ったという聞いているので、きっとそうなのでははないかというのです。
そうすると彼女の見たのは本物の幽霊。
この事を友人に話してみると余計に気持ち悪いとなって、学校の生徒全員から避けられるようになってしまい、いつの間にか転校していなくなっていました。
今でも同級生と会うたびに「あの子って、なんだったんだろうね。」と話題になるのです。
※画像はイメージです。
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