無口で陰のある大男が、大人の腕程もある二丁拳銃を振り回し、重火器を満載した棺桶を易々と担ぎ上げて並み居る敵をなぎ倒す・・・ジャパニメーション化したマカロニウエスタンだと言えば伝わるかもしれない、分かりやすくグッと来る絵面ではないでしょうか。
こんなド派手なシーンを開幕の狼煙として、二人の男が青春の後先を交錯する銃口で描いたのが「ガングレイヴ」です。
これぞ正しく公式二次創作
実はこの作品、同タイトルのPS2ゲームを原作に置いた作品です。
その原作と言うのが、装弾数10億発を謳い(実際は本当に無制限)、目に付くあらゆる物を撃ち壊し吹っ飛ばす事の出来る、ありそうで無かった豪快なアクションゲームだったのです。
そんなゲームだけに、ストーリーは全面に押し出さず人間関係やバックボーンの雰囲気を感じ取られるものに仕上げていたという具合でした。
今でこそゲームを原作としたアニメ作品は珍しくありませんが、ビジュアル性重視で作られたアクションゲームを原作とするものは珍しいのではないでしょうか。
それを見事に掬い上げ、単一の作品として申し分の無いばかりか、新たな側面として仕上げられたのがここで紹介させて頂いたアニメ版「ガングレイヴ」なのです。
ゲームを先にプレイしなければ分からないというような問題は一切無く、逆に一度触れたなら関連作を網羅したくなるくらい魅力に溢れた作品です。
古臭い男臭いはホメ言葉、青春が野心と仁義の狭間でドンパチする物語
本作の魅力は原作で徹底的に作り込まれたド派手でケレン味溢れる破天荒アクションをアニメならではの魅せる描き方でスタイリッシュにまとめ上げているだけではなく、
心通わせた二人の親友が手を取り合いギャングとしてのし上がっていく過程で、野心と仁義にすりつぶされていく過程を周囲の人間模様も交えて緻密に描き上げられた点です。
最終的に銃口を突き付け合う事となる二人の親友が、いずれも己の信念に徹したがこそ互いが親友であるまま互いの全てを壊し合う関係となってしまう様がこれでもかと叩きつけられる物語は、見てて辛くなる程に目が離せなくなります。
随所で繰り広げられるアクションシーンの激しさと相まって、精神と肉体における「アクション」を全編堪能出来る作品となっています。
インターネット界隈においては「男の義務教育」というジャンル区分での筆頭格として扱われるのもうなずけようというものでしょう。
まとめ~実は女性人気も結構あるらしいです
作中を通じて浮いた要素と言えば、ド派手な重火器を振り回す人間兵器VS超人軍団のアクションシーンくらいしかない、とにかく人間関係周りがシリアス男だらけの本作。
ところが、少なからず女性ファンの存在もあるのだとか。
原作が昨今話題の「血界戦線」作者である「内藤泰弘」先生であり、その酷薄な世界の中でも厳然たる優しさを秘めた、男女問わず惹き付ける緻密なキャラクター性は通底するものなのかもしれません。
血で血を洗う「血縁」関係の群像劇、どうぞ一度ご堪能下さい。
(C) RED/PROJECT GUNGRAVE
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