私は外科病棟で看護師をして10年以上になります。
怪談はニガテなのですが、この仕事を長く続けていると奇妙な出来事の1つや2つは当たり前なのです。
私が仕事をしている時に体験した、ベテラン看護師も「それはヤバすぎ」というエピソードがあるので渾身のものをお話しします。
心臓の弱い方にはおすすめしません。
小さな子どもが見える
手術などの大きな治療を終えた患者さんは、その後に意識が混乱してせん妄という、一時的に幻覚や幻聴をみることがあります。特に高齢者に多いこの現象ですが、患者さんの訴えにほぼ一貫性はなく、内容も千差万別。
しかし、共通点としてよく聞かれるのは、「小さな子どもが見える」ということです。
ある夜、私は深夜勤務に就いていました。手術を終えたばかりの患者さんの様子を見に行くと、その男性は青ざめた顔で目を見開き、天井を見つめています。
彼は震える声で「ここに子どもがいる」と。
私はすぐにせん妄だと判断し、落ち着かせるために声をかけても、彼の様子は変わりません。
ただただ「あの子が何か言っているんだ」と、小声でつぶやく続けるのです。
すると突然、彼の容体が急変。生死をさまよう状態になるのですが、当直医師と夜中にかけつけた主治医の処置により、なんとか一命はとりとめることができたのでした。
ありえないこと
夜が明け、朝の巡回の時間になりました。
病室を回りながら、ふと、あの患者さんの部屋の窓の方に目をやると、薄汚れた窓ガラスの外に無数の小さな手形がびっしりとついています。それはまるで、誰かが窓の外から必死に中に入ろうとしたかのようなのです。
私は息を呑みました。ここは3階で、窓の外には足場もありません。さらに、この病院の周りには隣接する建物もなく、手形がつくはずがない。
その夜のことを思い出すと、今でも鳥肌が立ちます。
せん妄の患者が見た子どもの姿は、ただの幻覚ではなかったのでしょうか?
あの窓の手形は一体何だったのでしょう?
夜勤に入るたびに「小さな子ども」の事を考えてしまいます。
「あの子」の姿を見てしまったら、私もあの患者さんのようになってしまう・・・何故かそんな気がしたのです。
窓際のベッド
それから、同じように小さな子どもを見たと言う患者さんが多く現れました。
私たち看護師の間では、あの病室には何かがいるのだろうという噂が広まっていったのです。
日が経つにつれ、あの手形は徐々に消えていきましたが、私の心には今も鮮明に残っていて、窓際のベッドに患者さんを配置する際には必ず一度、窓を確認するようにしています。
無数の手形と共に「小さな子ども」がやってくるのではないかと不安で仕方がないのです。
あの出来事がただの偶然であったと信じたいものですが、真実は誰にもわかりません。
ただ一つ言えるのは、あの夜以来、私は病棟の夜が少し怖くなったということです。
ぞっとしたそこのあなた。
もし大きな病気にかかり入院した場合、窓際のベットに配置されたら気を付けてください。
「あの子」に連れていかれないように。
※画像はイメージです。
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