勤務先の不動産屋、社長や先輩が「見えたり感じたりする人」で、扱う物件がなぜだか「いわくつきの場所」が多くて、不思議な出会いがてんこ盛りでした。
そんな経験を重ねていましたら、いつしか自分にも何か見えるようになったようです。
働き始めてそろそろ40年、忘れもしない、忘れられない、はじめての体験をお話します。
第1の物件
不動産屋の業務の一つに管理物件の点検があります。
長い間空き物件の状態にしていると入居しているよりも早く劣化してしまうので、定期的に回って破損や修理箇所を確認し、いつ内見するお客さんが来ても良いように掃除をする事もあります。
1軒目は、アパレルの中古品を売っていたショップの貸店舗。
観光地にあるオシャレな街で、オフィスが多いビジネス街、駅へとまっすぐに続く道に面した、不動産屋基準で10分程度の距離にある物件。
事故物件ではないのですが、ここにお店を出してもなぜか数年以内に閉店してしまうという曰く付き。
周りのほとんどの店は繁盛しているのに、ここだけが入れ替わりが激しいのです。
よくある話ですが、不思議ですよね。
物件の原因?
単刀直入にいいます。バックヤードがいわゆる「怪異の出る」場所でした。
自称”見える”先輩いわく、「この店、変だよね、特にバックヤード奥の窓際」と言うのです。
私は好奇心半分で「その何かは霊なのか?男とか女とか分かるのか?祓えたりするのか?」と質問すると、彼女は少し困った顔で『自分には見たり感じたりすることはできるが除霊な出来ない』。
そしてゆっくりとした口調で、「性別は分からない、まず人間にも見えない」と続けます。
動物の霊は生きていた時の形では見えないと聞いたことがあるので、動物の霊かと聞いてみると、そうではない。
恐らくは個人ではなく、人の負の感情の渦みたいなもので、モヤモヤと黒い煙のような塊が形を変えながら床から立ち上って見えるという。
ビジネス街は、怨念や邪気、負の感情多くなりがちで、渦のようになりここに吹き溜まった。
不幸をもたらすような程の力はないと言っていたのですが・・・・。
暫くして、なんでも物件のオーナーが病気で倒れ帰らぬ人に。
どうもビルもその方の所有だったようで、相続で揉め、他のテナントもつぎつぎに撤退させられて残ったビルは廃墟状態になり、周りの雰囲気にそぐわない不気味さから、心霊スポットと噂されるようになっていました。
ようやく解決するとビルは建て替えられるのですが、やはり曰く付きのショップだった場所に出したお店は長続きしません。
見えてきた私
その後もしばらくは先輩と一緒に物件管理の仕事を続けて、いくつもの不思議な事に遭遇したり、話を聞くことになっていったのでした。
先輩は、邪悪なものを感じた時はそちらの方に目を向けないようにしていると教えてくれた。
このことを聞いてから、私も何か変な雰囲気を感じたら、そちらに目を向けないようにしているのですが、だんだんと黒いモヤモヤが私にも見えるようになってきてしまった。
最初は目の疲れだと思っていたのですが、頭がズンと重くなる予兆があったりで、見える事に、ある意味で確信が持てるようになっていったのです。
※画像はイメージです。
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