務めた不動産屋の社長や先輩が「見えたり感じたりする人」でした。
たぶん・・・その為だったのでしょうか・・・物件が「いわくつき」が多かったように思います。
忘れもしない、忘れられない、不思議な体験の続きです。
第2の物件
東京の下町にある小さな3階建てのビル、1階はドラッグストア、2階が私の職場の不動産屋、3階は賃貸マンション、4階がオーナーの住宅になっています。
そして、このビルは不思議な事に、水回りがめちゃめちゃ故障するのです。
特に2階の私の職場だけトイレと洗面所の調子がしょっちゅう悪い。
トイレは詰まったりするではなく、水そのものが出なくなり、かと思えば、水が止まらなくなったりするを何度も繰り返します。無論、便器の貯水タンク給水弁の不良ではありません。
洗面所に至っては、だれも触っていない蛇口から水が吹き出たり、排水口の奥からやたら「ゴボゴボ」と水の音がするのです。
普通に考えれば、2階の具合が悪くなればその上やその下も合わせて悪くなるはずなのに?
修理をお願いした水道専門の業者さんも「なんでこの階だけおかしくなるんでしょう」と、首を傾げる始末でした。
ある夏の日
カンカン照りで30度を超える猛暑日、突然、4階に住んでいるオーナーが「助けてくれ」とやってきました。
話を聞くと、屋上の貯水タンクのなにかが壊れたようで水が止まらなり、家中水浸しだとか。
私達の不動産屋は、この物件管理は任されているけれど、ビルの管理まではしていません。
3階の賃貸から苦情が来てはいないので、おそらく4階のみの被害なので、どちらかといえば管轄外。
オーナーの頼みとしても私達がいっても、なんの対応もできないので、お断りしようと思った矢先でした。
大きなパイプを持った社長が奥の事務室からやってきて、一緒に様子を観に行く羽目になったのです。
屋上での出来事
初めて行った屋上は思ったより広く、おそらくオーナーが使っている物置と並んで、例のクーリングタワーがあり、中間の空いた部分から水が滝のように流れ、排水口が詰まってしまったようで一面プールのようになっています。
状況を見た途端に社長が近づいていき、手慣れた手つきでなにかしたと思うとあっという間に水が止まりました。
後で聞いたのですが社長は以前、設備会社に務めていたらしく、これぐらいのトラブルはお茶の子さいさいだとか。
私といえば、長年溜まったゴミで塞がれてしまった、排水口の掃除をさせられる始末。
暑さと泥水でグチャグチャになり、「もうやってられない!」と思っていると、物置の間に小さな祠を見つけました。
咄嗟に社長に声をかけて、やってきた社長が見るやいなや・・・「なるほど」と一言。
「なんなのですが?」と私が聞くと、笑うだけで教えてくれませんでした。
後日談
この事件がキッカケで水のトラブルに嫌気が指した私は「今後こんな事がないように」という名目で、社長に管理会社の連絡先を聞きました。
早速挨拶がてら連絡を取ってみると、いつかけても担当は不在ですという返事しか返ってきません。
社長にこの事を話してみると・・・「まあ、そういう訳だから」の一言でした。
それが職場のビルの怪異を証明しているような気がして、なお怖い。
※画像はイメージです。
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