お化け屋敷の老夫婦

私は怖い話、オカルト話が割と好きで、そのような活動をしていることもあって、以前帰省した際に母の体験した怖い話のようなものを聞く機会がありました。母が学生時代、修学旅行で行った遊園地のお化け屋敷の話です。

母の行ったお化け屋敷は、当時から本当に出るということで有名な場所だったそうです。母は割とそういうものを別段信じてはおらず、その時も友達と普通に入っていきました。
そのお化け屋敷はトロッコに乗って進むタイプのものだったらしく、他の友達が怖がってトロッコで顔を伏せている中、当時の母は怖いものには強かった様子で次は何の脅かしが来るのかとワクワクしていたそうです。
そして、中盤あたりに墓地のようなところを抜けると、少し殺風景な空間に入ったとのこと。そして少し進むと、水が流れていて老夫婦のような二人が、トロッコのような船のようなものに乗りながら少し前の方を横切っていったそうです。そのさいに、老夫婦がじっと母を見ているので、母はよく分からないままとりあえずぺこりとお辞儀をしたのだとか。すると老夫婦も微笑み、頭を下げてそのまま流されていったそうです。周りの友達は相変わらず顔を伏せていて、状況を全く見ていません。

母は、ここを抜けたら水の上を流れるのか！とまたワクワクしていたそうですが、その後、殺風景な空間を抜けた後は元の雰囲気に戻ったもののすぐにお化け屋敷の出口になっており、そのようなアトラクションはなかったそうです。
演出だったのかなと思って一緒にいた友達に聞こうにも、みんな怖がって顔を伏せていたので分からず。他に入った友達に聞いてみたところ、「そんな殺風景な空間も、流れてくる老夫婦もいなかった。」と。
母は、絶対に見たんだと言っていたものの、信じてもらえなかったようでした。

それから数年後、母の友達を連れて真実を確かめるべく同じお化け屋敷に行ったそうですが、やはりそこにはそのような殺風景な空間もなく、ましてやそのような演出もなかったとのことでした。
その話を聞き、「そこのお化け屋敷は霊道になっていたのではないか？もしかして老夫婦が母のことを見ていたのは、母も同じところに行く人だと思っていたからでは？」と言ってみると、確かに本当に出るという噂のあるお化け屋敷だったからその線はあるだろうねという話になりました。

この話を思い出したことをきっかけに、母が不思議な体験や怖い体験をした話がいくつか出てきて、もしかしてそういうの見える体質だったのかもねと気づいたのが最近の話です。
そして、お化けや屋敷の老夫婦に母が他人行儀にお辞儀をしていなければ、もしかしたら一緒に同じところに連れて行かれていたのかもしれないなと、真相はわかりませんが、少し怖くなりました。
ちなみに、まだ変わらずトロッコなのかはわかりませんが、実際に今もその場所には本当に出ると噂のお化け屋敷があるみたいです。

ペンネーム：藤原スズヤ
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