ひな祭りといったら、女の子の健康を願うための年中行事です。
その年中行事には雛人形が欠かせませんが、お雛様にお供えするお菓子も必要不可欠。
といってもこの時期になれば、スーパーでは雛あられなどひな祭り用のお菓子がこれでもか!と販売されるため、手に入りやすいですね。
しかしひな祭りのお菓子には、いわゆる「ご当地菓子」がお供えされることがあることはご存知でしょうか?
今回はそんなご当地だけのひな祭りのお菓子をご紹介していきましょう!
岐阜県「からすみ」
まずトップバッターはこちら、岐阜県の「からすみ」です。
からすみといったら、おつまみにうってつけな日本三大珍味を思い出しますね。しかし岐阜県の「からすみ」は米粉を使ったお菓子で、桃の節句だけでなく、日常のお菓子としても親しまれています。
お菓子の形は山のかたちをしており、食感は少し固めでもっちりしているとか。
なぜ山のかたちをしているのか?というと、「わが子が日本一幸せになれますように」という願いを込めて富士山をモチーフにしたと伝えられています。
名前についても諸説あるものの、当時から高価で縁起物であるからすみを食べられなかったこの地方の人々が「せめて同じ名前の縁起物を口にしたい!」と一念発起したとか。
岐阜県は海に接していないため、昔ならなおさら、からすみが食べにくかったと思います。
そんな「からすみ」の味は意外と多種多様です。米粉と砂糖を使うのがプレーンであるため、シンプルなのですが、砂糖のかわりに黒糖を使ったり、砂糖以外にごま・よもぎ・くるみといった混ぜやすい材料を入れたりもするからですね。
地元では子どもたちが「お雛様を見せて」と言って家をまわり、その家で「からすみ」をいただく「がんどうち」という行事があったりもします。
まるでハロウィンみたいですね!

愛知県「おこしもの」
続いては愛知県の「おこしもの」です。
「おしもん」「おしもち」など呼び名がいくつかありますが、見た目や作り方などはどれも同じ。
米粉を熱湯で練って、梅や鯛、宝船など縁起がいいモチーフの木型に入れて固めます。つまり米粉の練りものというわけですが、「おこしもの」のそのカラフルさが特徴的です。
緑・オレンジ・ピンク・黄色・紫など、とにかく華やかに色付けされています。
これは食紅やクチナシ、抹茶などで色がつけられているのですが、その方法は2種類。
1つは前もって米粉を色付けしておくパターン、もう1つは木型で固めてから色付けするパターンですね。
この色付けの工程は子どもたちから好かれており、型も地元ではスーパーや和菓子店に行けば購入できるため、家庭でよくつくられているとか。
ちなみに「おこしもの」も名前の由来に諸説あり、型に米粉を押し込むからという説や逆に型から外す際に起こすことから名づけられたという説があります。
いずれにしても型が関わっているようですね。

山形県「くぢら餅」
最後はこちら、山形県の「くぢら餅」です。
発音的には「クジラ」と言いたくなりますし、そちらのほうをイメージしてしまいますね。
しかし「くぢら餅」の「くぢら」とは「久持良」で、「長く親しまれる良い餅」という意味を込めて名づけられたという説があります。
もちろん見た目がクジラ肉に似ているからという説もあるため、断言はできません。
さて、この「くぢら餅」は地元では伝統的な雛菓子とともにお供えされているとか。
昔は近所で手作りした「くぢら餅」を食べ比べしていたのですが、今ではその風習は途絶えつつあります。
というのも「くぢら餅」は伝えられた調理法だと、なんとかかる日数は2日間!
現在は時短のために工夫しているところもありますが、それにしたって準備とパワーが必要なご当地お菓子ですね。
ちなみに「くぢら餅」は先にご紹介したお菓子と比べると、歯ごたえがあるため、オーブンやフライパンで少し焦げ目ができるぐらいに炙ると美味しいのだとか。
たしかに日持ちが良さそうなお菓子です。

それぞれの美味しいもの
岐阜県の「からすみ」、愛知県の「おこしもの」、山形県の「くぢら餅」。
どれも個性的で、詳細を知るとたしかにお雛様のお供え物にぴったりな伝統菓子です。
地元の方々は「なにをそんな」と思われるかもしれませんが、他県の私にとってはどれも珍しいものばかりでした。
皆さんはどうでしたか?
思った事を何でも!ネガティブOK!