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恐ろしい百物語

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高校を卒業して、俺は地元の中小企業に就職した。
従業員数は少ないけれど、いまどき珍しいくらいアットホームな会社でした。
バスで全員そろって温泉地へ行くという、なんとも昭和なノリな社員旅行で、入社して1年目に起きた恐ろしい話です。

その夜、宴会が開かれ、酔った勢いで社長さんが「百物語しようぜ」と言い出した。
俺は「え?」と思ったけど、どうやら恒例行事らしく宴会場の電気が消され、参加者全員に渡されたろうそくに火をつけた。
部長もノリノリで「若い頃はな、肝試しとかようやったもんや」なんて楽しそうに話しながら、熱燗をちびちびやっていました。

正直、俺は怪談なんて興味がない。オカルト番組も見ないし、霊感なんてもちろんない。でも、話を振られて「俺だけ話さない」のは重役もみんないるし、空気が悪くなるのはマズイです。
そんなとき、ふと思い出したのが、あの高校時代の出来事でした。

どうしようと迷っているうちに順番が回ってきました。
「怖い話ってわけじゃないけど、ちょっと変な体験をしたことがある」
と話しを始めると、みんな俺の方を見て真剣に聞く姿勢をとっています。

高校時代、俺は自転車通学をしていました。
ある日、生徒会の仕事で遅くなった帰り道、早く帰りたい一心で普段は使わない山道をショートカットしました。でも、気づくと同じ道を何度も通っているのにきがつきました。

「え?さっきもここ通ったぞ」と焦ってくるうちに、だんだん怖くなってきました。
ぐるぐる回ってるうちに、まさか化かされた?と思いました。

昔、じいちゃんが、この山ではキツネやタヌキに化かされることがあるって言ってのをおもいだしました。
泣きそうになりながら自転車を漕いでいると、目の前に人影が見えました。

「助けてください!」必死で声をかけたら、それは着物を着た女の人です。
暗い山道に、今どき珍しい着物姿。
でもそれ以上に、俺の目を引いたのはボインボインのおっぱい。
着物の隙間から、チラチラと見え隠れする。
いやいや、こんなときに何考えてんだ、と思いつつも、うわあ、ダメだろそれって思ってるのに、興奮しちゃって。
立っちゃった。
うわあ、ダメだろそれって思ってるのに、興奮しちゃって、自分の中の何かが、自転車のサドルの角度が合わなくなるくらいに。思春期だったから、どうにもならない反応です。

そしたら、その女の人が俺をじーっと見て、にやっと笑ったように見えました。
どうにもならなくて、思わず前かがみになって必死に隠して、「ちょっと待ってください」って叫んでも、女の人は近づいてくるのです。
そして着ている着物を脱ぎ始めて、俺はパニックになっていると、意識がスーッと遠のいて目が覚めたら、竹藪の中で全裸で寝てました。
体中チクチクして、めちゃくちゃ寒い。探しに来てくれたじいちゃんに発見された。
全身、毛だらけだった。あちこちに足跡が残ってて、しかも四足のやつ。
大切なあそこも落ち着いているけど、なんだかヌルヌルしていました。
じいちゃん、落ちている動物の毛を指で摘みながら、俺の姿を見てため息をつきながら「お前、タヌキに化かされたんだな」呆れたような、仕方ないような、なんかやさしいような顔でした。
恥ずかしさで死にたい気分でした。

これ以上に怖い体験をした事がありませんと話し終わった瞬間、部屋の空気が凍りつき、誰も何も言いません。
しばらくの沈黙の後、同僚が「それ、ほんとの話?」とつぶやき、俺はうなずき、沈黙がさらに深まったようです。

そのとき、女子社員の一人が低い声で、「セクハラ案件だよね」「てか、何自慢げに“立った”とか言ってんのマジで引く」「いや、怖い話じゃないじゃん、それただの性癖暴露大会でしょ」などと話始めました。

社長さんも、苦笑いしながら首をかしげ、「うーん……まあ、若いってのは……いや、まあ……その、何というか……」と完全にフォローしきれない表情でした。

冷たい視線が一斉に俺に注がれ、何か言い返そうにも言葉が出ないまま、百物語はその場で終わりました。
そして翌朝から、俺は「エロダヌキ」と呼ばれるようになったのです。

匿名希望の「N」

「奇妙な話を聞かせ続けて・・・」の応募作品です。
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※画像はイメージです。

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