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マンション入居から三晩続けてナニカに検分しに来られたこと

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新しいマンションに引っ越したその日の晩、眠りに就きかけたところで何かが覗き込んでいるのに気づいた。
古式ゆかしい日本人形のような童女であった。肩ほどに切り揃えたおかっぱを頬に落としながら枕もとに立って眠る私の顔を覗き込んでいる。
体は動かない。
私は入眠困難を抱えているのでこういう状態になることが多く、そういう時は決まって先に眠ってしまった体を起こすために内頬を噛むようにしていた。痛みで目覚めようというのである。入眠の淡いの中で必死に脳が体を動かすのを待った。どれほど呻吟したかわからないがようよう内頬を噛むことができ目が覚めた。

次の日、今日はないだろうと思いながら横になったところ、足元の方にある玄関からローブのような装束を着た10人ほどの長身が訪ねて来たように覚えた。彼らは私の布団を円陣で囲み、「これがそうだろうか」「どうだろう」「そうじゃないかね」などと審議していた。フードを深くかぶっているので面立ちは見えなかった。彼らが何を審議しているのかは知らんがこちらは苦しくて仕方ない。最初の童女同様悪意が感じられないのは不幸中の幸いかも知らんがそこも問題ではない。また私は必死になって頬の内側を噛んで目覚めようとし、……しばらく後ようよう解放された。

三日目。いくら新居で慣れないと言っても流石に三日続けてはないだろう。そう思って布団に横になったところ、またもや玄関口から、今度はざんばら髪の女性が人外の速さでこちらに移動してくるのを覚えた。もういい加減疲れた。普通に寝かせてくれ。そう思った私は、(あなたが探しているのは私ではありません、別の人です)と懸命に脳内で訴えた。少しく覗き込んでいた女性はその言葉を聞き留めたのか諦めたように踵を返した。
ああ、今日は落ち着いてこのまま眠れるのだな。安堵したのは束の間で、件の女性は帰りかけていたところで急に振り向き「違う!そうじゃない!違う!そうじゃない!」と凄まじい剣幕でこちらに人外の速さで戻ってきた。
そこで目が覚めた。

あれらは何だったのか。二日目の集団には神性のようなものを感じたが、一日目の童女と三日目の女性の意味は全く分からない。わからないながら、あれらの探し人が見つかっておればよいんだがなぁと、今もそのマンションに住みながらぼんやりと思っている。

ネコタ斑猫
実体験です。

「奇妙な話を聞かせ続けて・・・」の応募作品です。
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※画像はイメージです。

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