O府に住んでいる親戚の叔父が、家、土地、山つきで100万という破格の値段で家を購入したので、私達が住んでいるS県まで引っ越してくる話になりました。
なぜそんなに安いのかというのは「いわくつき」の物件だからなのですが、叔父様はそんなのデマだと言って全く気にも止めず、掘り出し物だと喜んで購入したそうです。
叔父がくる前に掃除を・・・
そんな叔父が引っ越す前に、掃除を兼ねて物件の下調べをお願いされました。
私達は「いわくつきってどんなんだろうね」と遊び半分で、母と兄と従兄弟と私の4人で物件へと向かいました。
物件はテレビ番組の「ぽつんと一軒家」を思わせるような市街地から離れた山の中にあって、暗い細い林道をしばらく進むとその建物がみえてきます。
見た目は古いのですが思ったより立派な和風の古民家、竹林のなかにあるので母いわく「すずめの御宿」のようで、いわくつきなんてどこが?っと思わせるほどでした。
鍵を開け玄関に入ると広い玄関に屏風が置いてあり、昔話の庄屋様の家を連想させる豪華な感じ。
廊下から見えた家の中には以前住まわれてた方の家具や生活用品が全て残っていて、すぐにでも暮らせるようです。むしろ、なぜそのままで、住人は何処に行ってしまったのかと不気味に思ったのです。
掃除を始めるにも雨戸が閉まっていて中はほぼ真っ暗、雨戸を開ける係と電気のブレーカーを探す係の2つに別れました。
え???なにが起きたの???
私は従兄弟はブレーカーを探す係で、たぶん勝手口の方にあるんじゃないかなとスマホの懐中電灯片手に家の奥へと進んでいきます。
「いわくつき・・・一体何があったんだろう」と思いながら、廊下を進んでいると突然、「ピンポーン!ピンポーン!」とインタホーンが鳴り響いて、母がイタズラしたんだろう。でも、よく考えたら電気通ってない。
ふと従兄弟の顔をみると、なんとも言えない表情をして「もしかしたら、インターホンは電池で動いているんじゃないか」。
真相を確かめに玄関まで戻ってみると、雨戸は電動なので電気がないと動かないようで母たちは、私達がブレーカーを上げるのを待っていました。
母に事情を話すと「インターホン自体を見たことないわね」と首をかしげます。
いずれにしても電気がないとなんにも始まらないし「皆で探せば怖くないでしょ」の謎理屈で、4人揃って探す事になったのです。
ところが
皆で家の奥へ進んで行くのですが、インターホンは鳴らず、怖いと思うから聞こえたという事になり、勝手口へついてもブレイカーは見当たらず、電気に詳しいという兄の意見で風呂場の近辺が怪しいと言うのです。
言い出した本人が先頭を切って一人で風呂場と思われる方に向かったのですが、今度はインターホンでなくて、「ギャーーーー」と兄の悲鳴が聞こえてきました。
なにがあったのかと皆で向かってみると兄が腰を抜かしています。
そして指を伸ばした先の風呂場に、灰色の着物に白い足袋を履いた白髪のおじいさんがいる。
皆で顔を見合わせると全員が見えているようで、そのまま無言で兄を引きずって家の外へ出て、車に乗りこみ猛スピードで後ろも振り向かず皆無言で走り続けました。
暫くして、市街地に入った時にようやく喋り始めました。
「みた?」「うん」「おじいさん?」「うん」
やはり、みんな同じ物を見ていたのです。
叔父に報告
とにかく帰ってから、叔父に報告しました。
すると叔父が言うには・・・。
「その物件、家族に先立たれてしまい、一人ぼっちになったお爺さんが風呂場で練炭だか、備長炭だかで亡くなって以来、出るから格安なんだって」
それから半年後、業者に頼んでリフォームしてもらい叔父は暮らしていますが、幽霊が出たという話は聞きませんし、掘り出し物の物件だと喜んでいます。
4人も揃ってあんな怖い思いをしたのに、私達の話を聞いても笑われるだけです。
不便な場所にあるので、私地は時々買い物をお願いされる事がありますが、荷物を届けるだけで決して家の中には入りたくありません。
※画像はイメージです。
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