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こっくりさんの姿

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私が小学校4年生の頃のことですから、今から25年ほど前のお話です。

当時私は学校のスポーツ少年団に入っており、授業が終わってから少年団の活動が始まるまでの放課後の時間を持て余しておりました。宿題を終わらせたら、あとは自由な時間です。
全校生徒60人ほどの、かなりの過疎地域の学校でしたから、一学年は約10人ほど。毎日みんなで一緒にワイワイ過ごし、特定のグループもなく遊んでいました。

しかし、その日は外で遊ぼうという気にもなれず、教室でぼんやりしていたところ、誰からともなく「こっくりさんをしよう」という話になりました。
メンバーは、オカルトに少し興味があるMちゃん、特に興味はないけれどなんとなく参加したKさん、そしてオカルト大好き人間の私の3人です。先生に見つかるとさすがにまずいのではないかと思い、学校の裏庭に向かいました。
幅1mほどのビオトープの川がさらさらと流れ、その向こうに鬱蒼とした竹藪がある、昼間でも少し薄暗い場所です。

「こっくりさん、こっくりさん、おいでください……」Mちゃんの持っていた10円硬貨を使って早速こっくりさんを始めると、指は勝手にすらすらと動きます。私は幼少の頃からホラーやオカルトの類が大好きでしたが、だからと言って信じているわけではなく、あくまでエンタメとして楽しんでいるタイプの子でしたから、「ああ、Mちゃんが動かしているに違いない。彼女はそういうワルのりが好きだし、なんとなく指先に力がこもっている感じもするな」と内心白けていました。しばらくこっくりさんにあれこれと聞いた後、「もうこれくらいでいいか」という話になり、儀式は何ごともなく終了しました。

Kさんが「トイレに行ってくる」と言うので、私とMちゃんは川のせせらぎを眺めながら遊んで待っていました。ややあって帰ってきたKちゃんは、神妙な顔でこんなことを聞いてきます。「ねえ、こっくりさんって何の霊なの?」私が「ん?キツネみたいよ。どうして?」と応えると、「今トイレから帰ってきたら、そこの竹藪からキツネのお面を被った着物の女の人がこっちを見ていた」と言うのです。私とMちゃんは慌てて竹藪を覗きに行きましたが、そこには誰もいませんでした。

前述のとおり、一学年10人ほどの小さな学校ですから、友達ひとりひとりの人間性はいやというほどよく知っていました。Kさんはそもそもオカルト的なことにはまったく興味のない子でしたし、嘘をつくような人間でもないことは重々承知していました。その竹藪は外部から人が侵入できるような位置でもありません。Kさんが見たという女の人は、果たしてこっくりさんだったのでしょうか。あの、青い顔で震えるKさんを思い出すと、今でも不思議な思いにとらわれるのです。

神野 燈子

「奇妙な話を聞かせ続けて・・・」の応募作品です。
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※画像はイメージです。

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