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京都船岡山近辺にて

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京都市内に引っ越してきて二ヶ月。京都の路地を散歩していた。
行ったことのない路地を行ってみようと歩いていると、崩れかけた辻地蔵の前に出た。なんとなく手を合わせ、進んでいくと、さきほどの辻地蔵の前に出た。

おかしいなと思いながら進んでいくと、また、同じ辻地蔵の前に出た。不安になり、携帯で誰かに連絡しようとすると圏外になっている。どうしよう、とふと顔を上げると、崩れかけた社が、目の前にあり、その奥には、紙垂がちぎれた神木がそびえたっていた。

私は神木の視線を感じ、また、神木から目を離すことが出来なかった。このままでは、神木に飲み込まれる、そう直感し、足を動かそうとするが動かない。神木は私を見ている、そして私も神木から目を離せなくなっていた。

白い霧が出てきた。まわりが見えなくなる頃、遠くで車のクラクションが聞こえ、私の足はふっと軽くなった。振り向きもせず、車のクラクションの方向へ走り出すと、知っている道に出たので、大急ぎで自宅へ帰った。

時間を見ると、散歩に出かけてから四時間も過ぎていた。あまりに疲れてしまい、一階のソファにもたれかかると、上から落ち葉が一枚ひらりと落ちてきた。上を見ると天井しかない。

怖くなり、誰かと繋がろうと、ネットを開き、SNSに書き込もうとしたら、パソコンの電源が落ちてしまった。電源をつけなおしている時、触ってもいないステレオから音楽が流れだした。音楽を消し、再度SNSに書き込もうとすると、またパソコンの電源が落ちてしまった。後ろのキッチンでは、大きな音がし、それぞれS字フックでかけてあったフライパンの三つのうち二つがS字フックを残したまま落ちていた。

落ちているフライパンを見て身体が固まってしまい、フライパンを見つめていたら、何も入ってない電子レンジが突然動き、温めはじめた。何かヤバいものを連れて帰って来てしまったのかもしれないと思った時、小学生の息子が学校から帰ってきた。

「ママ!大丈夫か?この部屋おかしいぞ、なんかおかしい」
息子は、部屋の中を見渡している。その時、お向かいの方が回覧板を持って来られ、私の顔を見た瞬間、
「大丈夫ですか!?なんかあったんですか⁉」
と言う。私の顔色が真っ青だと言う。実は、、と話しだすと、3本目のフライパンが落ちる音がし、お向かいさんは、取り憑かれたんとちがいますか?と言う。

古くからここにいる近所のお爺さんにお話ししたほうがいいですよ、と言われ、そのお爺さんに全て説明すると、
「ああ、木に見そめられたんですな。お祓いしたらよろし。」
と驚くことなく、お祓いの神社まで手続きをしてくれた。お祓いは次の日に行くことになった。
朝起きると、私の布団の上と枕元に落ち葉が落ちていた。

お祓いに行く為に、自転車に乗ろうとすると、自転車のカゴに、昨日までなかったつる草が一本巻きつき、少し育っている。私はそれをちぎって捨て、お祓いへと向かった。神主さんに事情を話すと、
「ああ、木霊に魅入られたんですね」
と慣れたように仰る。そういう方時々来られるんですとも仰られていた。
お祓いが始まると、重たかった身体がどんどん軽くなっていくのを感じた。

お祓いが終わり、神主さんは、
「強く魅入られいるようで、全部は取り切れず、少し残っていますがもう困ったことは起きないと思いますよ」
と仰られる。お礼を言い、神社の外に置いた自分の自転車を見ると、またカゴにつる草が巻きついており、少し育っていた。それはもうそのままにし、帰宅した。

帰宅後、天井から落ち葉が降ることもなく、普通の生活に戻った。
次の日、仕事に行こうと、自転車を見たら、カゴに、つる草が二本くるくると巻きついていた。ちぎっては捨てる日々が2週間ほど続いたが、その後は、つる草が巻きつくことはなくなった。今は、平穏に暮らしている。

ペンネーム:しまなかこう
怖い話公募コンペ参加作品です。もしよければ、評価や感想をお願いします。

※画像はイメージです。

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コメント一覧 (1件)

  • どうして優秀作なのか意味不明です。どこが怖いのかわからないし、色んな意味である意味怖い。

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